目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
Episode18 - BR1


--マイスペース


「……って訳だから、一度召喚を解除するよ」

「畏まりました。記憶類に関してはご主人様に紐付けされている為、問題はありませんので」

「助かるよ」


ダンジョンから戻った私は、消耗品類の製造等を行っていたルプスに対し経緯の説明を行った。

今回の元々の目的は、『四重者』のMVP報酬である従者召喚能力付きの指輪の獲得だ。

今や私のサポートをほぼ全てこなしている彼女に話を通さない事には、この後の作業に入る事は出来ない。


「ですが……」

「ん、なぁに?」

「その、それは一体……?」


ルプスは私の頭部……紫煙のフードが出現している辺りを見て、そう言った。

私としては聞いてほしくはないのだが……仕方がないだろう。

何せ、


「何なんだろうね、これ。いつの間にか装備されてたんだよ」


見る人が見れば、悪趣味と言われそうなピエロの仮面が着いているのだから。

正面の部分を目の前に……仮面をするようにしてみても、特に何か変わる様子もなく。

しかしながら、視界が邪魔される事はない。

恐らくは今回のMVP報酬的なモノなのだろうが……中々に異様だ。


「ま、先に戦利品類の確認しちゃうから、『紫煙人形』の方に移ったらまた呼ぶよ。それまではいつも通りに」

「畏まりました」


さて、今回確認すべき内容は中々に多い。

いつも通りの報酬確認から、戦闘中に流れた【過集中】関連のログ、そして戦闘終了後に流れた新たなTipsの追加など、1つ1つ詳細に確認していたらそれなりに長くなってしまうだろう。

……ま、見たいものだけ見ていく感じで。

今回はボスの名称が途中で変わる等、様々な変化があった為、報酬自体にもそれが表れている。

というのも、


「今回は生物由来の報酬がないな……」


いつもならば取得出来ていたであろう、血や肉、骨といった素材は1つもなく。

代わりに、縁結晶等のオーラに纏わる物が多い。

そして、


「うん、MVP報酬は基本的にマイナーチェンジみたいな性能だね。良かった」


今回の目的であった、MVP報酬。

ノーマルモードで手に入れた指輪の性能と比べながら見ていこう。

まずは今までかなりお世話になってきた、『四重者の指輪』。


――――――――――

『四重者の指輪』

耐久:100/100

種別:指輪

品質:EX

効果:従者召喚最大3

   制限:マイスペースのみ有効

説明:『四重者』が着けていた金属製の指輪

   縁の力に親和性が高い

――――――――――


無骨な金属製の指輪であり、普段はグローブによって隠れているものの……基本的には手に入れてから外した事は一度も無い。

対して、今回手に入れた『狂道化師の指輪』はと言えば、


――――――――――

『狂道化師の指輪』

耐久:100/100

種別:指輪

品質:EX

効果:従者召喚最大3

   制限:マイスペース、生産区のみ有効

説明:『【狂道化師 ポゴ=ハンリー】』が着けていた指輪

   縁の力に親和性がかなり高い

――――――――――


マイナーチェンジとは言ったものの、従者の活動範囲が広がっている時点で、相当の強化がされている。

見た目は小さな骨を組み合わせ、宝石の代わりに縁結晶があしらわれた指輪となっているものの……別段気になる事はない。


「今後はこっちを装備しておくとして……問題はこの仮面かな?」


いつの間にか、勝手に装備されていた仮面。

当然ながら何度か自身の手で外したものの……呪いの装備のように、気が付くと装備されている困った仮面。

怨念系の装備のように、身体の制御権の乗っ取りや、意図しない行動をしたりなどはないものの……今の所、何も無いからこそ不気味でもある。

……詳細は……出せるんだ。へぇ。

装備欄を見てみれば、他の指輪類と同じようにアクセサリー欄に我が物顔で居座っている見慣れぬ装備があった為、それの詳細を見てみれば。


「……強くない?」


――――――――――

『私が被った4人の人格』

耐久:100/100

種別:特殊戦利品

品質:EX

効果:自身の分身召喚同時存在数最大1

   制限:ダンジョン、外界のみ有効

説明:『【狂道化師 ポゴ=ハンリー】』が、自身を助けた者へと贈る1つの仮面

   これは彼の罪であり、罪を逃れる為に被った仮面である

――――――――――


この場で性能確認は出来ないものの。

明らかに書いてある事は強いなんてものではない。

装備などの性能がコピーされるとは思えないが、それでも私がもう1人増えるとなれば……それだけで厄介さは格段に跳ね上がる。

今まで苦戦していた相手に対しても、コレがあるだけで十二分に余裕を持った状態で勝つ事が出来るだろう。

……ま、そんな美味い話は無いだろうけど。

流石に私も私で、この文章をそのまま鵜呑みにする程純粋ではない。

そもそもとして、この特殊戦利品の名前、説明文にもある通り……これはあの道化師が被った罪の仮面なのだ。


「こっちに攻撃してくる事は無いにしても……制御が効かない、なんてのはありそうだよね」


何にせよ、一度試す機会を作った方が良いだろう。

……丁度、良いサンドバッグになりそうなのが居るんだよねぇ。

自身の耳に着けている耳飾りへと指を這わせつつ、私は今回のボス戦で手に入れた報酬の確認を終える事にした。

次は……【過集中】について見ていく事にしよう。


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?