「彼女のはぁー……意外と生体系は少なかった印象があるな」
メアリー=シンドロームの討伐報酬は、本人自体の素材以外にも彼女が使っていた武具が壊れた状態で配布されている。
といっても、私はもう武器を増やす予定はない為、武具系は全てメウラに回してあるのだが。
……えぇーっと、金槌と鎧片かな。
私の目の前に2つの素材が出現する。
1つは使い古された、何故か赤黒い汚れが付いている小さ目の金槌。
そしてもう1つは、紫色の鎖の意匠がされている鎧の破片だ。
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隠矢小娘の鍛冶金槌
種別:素材
品質:B-
説明:鍛冶師が愛用した金槌
時に鉄を、時に敵を打ったそれには、薄れてしまったものの何かが彫られていた形跡がある
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隠矢小娘の鎧片
種別:素材
品質:B-
説明:鎖のような意匠が施されている鎧の破片
何処か蓮の花のような匂いが漂う
危険に反応して障壁を展開させる能力を持っていた
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「うん、鎧片はしっかり数を集めれば装備の更新に使えそう。金槌は……生産施設の方のアップグレードとかに使えたりするのかな。した事ないから良く分からないけど」
生産施設のアップグレード。
今の所、不便というか……主に使用しているルプスから何も言われていない為に設置した時から別段何も変えていないものの、そろそろ今よりも上位のモノに切り替えるタイミングではあるだろう。
と言っても、私が決めるのではなくルプスがどうしたいかに任せる事にする。
マイスペースには生産施設を何個か置いているものの、私が最近使うのは煙草か紫煙技術程度。
他に関しては本当にルプスに任せっきりになってしまってる為、勝手に決めるわけにはいかないのだ。
……一応主人ではあるけど、こういう所はしっかり聞いとかないとね。
変な事をして機嫌を損ねると、模擬戦の時に何をされるか分からない……なんて本音もあったりはするのだが。
【疑似腕】をラーニングしたが故に、次の模擬戦が少し怖いのだ。
「さ、さて。確認もここら辺にしておいて……次の計画を立てていく事にしようかな」
『Sneers wolf』の外界侵攻から始まった、過去事変への挑戦。
狼達の方はそれなりに得るものを得たようで、それらの還元は今後何処かのタイミングでリーダー側から通達されるだろう。
もう少しばかり遺跡をしっかり探索してみたかった所もないわけではないが……それはまた今度の機会に。
……過去事変はまだまだ先があるしねぇ。
短期間に3体のボスを倒したのは初の経験だ。それもテンションが上がっていた為に大分無茶苦茶な攻略をしてしまった感が否めない。
だが、彼女らとはまた戦う事にはなるだろう。
「グレートヒェンはどうか分からないけど……他2人に関してはセット効果が私寄りな気がするんだよねぇ。基本の攻撃手段が遠距離型だったし」
だが、それはそれで少し先になるだろう。
現状の最大目標は【酒気帯びる回廊】……『酒呑者』の攻略なのだから。
メウラの検証が終わり、装備のアップグレードが終わり次第、リベンジといくとしよう。
「ちょっと時間が空くし、その間にスキルの調整もしたいな」
スキル関連も弄りたい。
少しばかりラーニングや、自身が修得したスキルが増えてきた為、自分でも少しばかり雑多に感じてきているのだ。
それこそ、未だ
「……結構やる事あるじゃん。良いねぇ、飽きが来なくて」
現状を整理して、少し笑みを浮かべる。
まだまだ楽しみは続きそうだ。
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プレイヤー:レラ
・紫煙外装
『外装三式 - 杯型ニ種』
・所有スキル
【煙草製作】、【観察】、【フィルター加工】、【背水の陣】、【回避】、【過集中】、【魔煙操作】、【隠蔽工作】、【複製】、【状態変化】、【投げ斧使い】、【多重思考】、【酒精操作】、【酒気展開】、【酒精生成】、【居合】、【刀の心得】、【剣気】、【鎧徹し】、【疑似腕】
・装備
黒血狐のボディス、黒血狐のドレススカート、黒血狐のグローブ、黒血狐のロングブーツ、黒血狐の外套、『信奉者の指輪』、『四重者の指輪』、『怨斬の耳飾り』、『解体者の指輪』、『切裂者の指輪』
・煙質変化
【狼煙】、【怨煙変化】
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