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Episode25 - R2


メニューを操作し、紫煙外装の詳細を呼び出す。

すると、


「うわ、なんじゃこりゃ」


――――――――――

『外装三式 - 杯型ニ種』

等級:参

形状:手斧・杯


通常駆動α: 投擲時自動回収1s

      分裂効果【葡萄胚】1消費

      制限:分裂数は(等級×等級)/2を超える事はない

      与ダメージ増加【葡萄胚】任意数消費

      形状変化:杯


通常駆動β: 一定時間毎に酒精生成

      制限:生成量は(等級×等級)/2×10mlを超える事はない

      中に入れた液体を酒精へと変容させる

      形状変化:手斧


通常駆動時:一定時間毎に一定範囲内の対象に『酩酊』を付与

      『酩酊』のスタック数が5に達する度に、『酩酊』を【葡萄胚】1に変換



紫煙駆動α: 紫煙による手斧の複製

       紫電の発生、放出ST別途消費

      制限:複製数は等級を超える事はない

      制限:手斧形態時のみ使用可能


紫煙駆動β:【葡萄胚】を全て消費し、一定時間ステータス強化効果

      制限:杯形態時のみ使用可能

      制限:使用後、一定時間紫煙外装使用不可


【葡萄胚】:最大スタック数6


――――――――――


長い。率直な感想はそれだった。


「……つまるところ、2つの形態に変化出来るって事だよね?」


目が滑るのを抑えつつ、説明文を読んでいき何とか噛み砕いて理解する。

簡単に言えば、戦術の幅が広がったと認識して良いのだろう。

しかしながら、


「これ、私がここ最近編み出したスタイル全否定じゃなーい……?」


紫煙駆動βの方が中々に曲者だ。

これまでの私のプレイ履歴から、最近手斧ではなく『想真刀』を使い始めた為にこのような能力を獲得したのだろうが……完全に近接戦闘特化型になるというのは私にとっては荷が重い。


「杯形態も見てみるか……えぇーっと?……おぉ変わった」


手斧を手の中で弄びながら、どう変えるのかと調べていると。

突然手斧が鈍い赤紫の光を放ち、その形状をそれなりに巨大な黒色の杯へと変えていく。

よくアニメや漫画なんかでこれを使って鬼が酒を飲んでいそうだな、と思いつつ。


「あ、これ底にぶどうの蔦のマーク入ってる。細かいなぁ」


薄っすらと赤紫に輝くマークを見つつ、これをどう使うべきかを考える。

どう見ても伽藍ドゥなどと同じ、非戦闘向けの紫煙外装だ。

フリスビーのように投げた所で有効なダメージを与えられるとは思えないし、何ならそれをするくらいならば手斧で良い。

……お酒を自動で出してくれる、って所が1番の利点かなぁ。ST使わなくて済むし。

【酒精生成】はすぐに大量の酒が欲しい時に。

こちらの杯は、普段の【酒気展開】のようにアクセサリー状にして身に纏っておくような、少量ずつでも問題がない使い方が妥当だろうか。


「ま、使ってみないことには分からないことも多いか。……初めてこれで戦うボスは『酒呑者』だろうけど」


酒に強いボスに対し、酒に関する能力を得た上で挑むのは中々に怖いものの……得てしまったからには活かせるだけ活かして戦うべきだろう。

その前に酒浸りの親衛者などで試運転は行うのだが。

……さてと……討伐報酬の方も目ぇ通さないと。

その殆ど……マギ=アディクトとメアリー=シンドロームが人型だった為か、肉や血液などと言ったいつもの素材に関してはメウラに検証用に回している。

その為、今手元にあるのは私個人が使いたい、もしくは気になった素材だけなのだが、


「どっちのボスからも心臓が出てきてるのはどうしてなんだろうなぁ」


グレートヒェンも合わせると、過去事変のボス全てから心臓という部位が手に入っている事になる。

今までのボスから心臓系が落ちた記憶はないし、何ならコレを運が良いだけと切り捨てるのは早計だろう。

だが、これらが何を意味しているのかを察する事は出来ない。判断する為の材料が足りていないからだ。

……一旦置いといて……1YOUくん達が追いついてくるのを待っとくか。

こういうのは人手が多い所に任せた方がしっかりとした答えを持ってきてくれるから楽だ。

一度心臓に関しては考えないようにして、最初にマギ=アディクトの気になった素材を見ていこう。


「彼の素材で気になったの、まぁ1つだけではあるんだよね。後は基本壊れた注射器とかだし」


周囲の酒気を両手に纏い固体化させる事で、簡易的な手袋のようにして。

私はその素材を実体化させ、詳細を開いた。


――――――――――

死水魔女の薬液結晶

種別:素材

品質:B-

説明:中毒者の扱う薬液が結晶化したもの

   これを飲み込めば、快楽の果てに苦痛を経て死に至る事だろう

――――――――――


手のひらサイズの、極彩色の結晶だ。

向こう側が透けているのが分かる程度には透明度が高い。

だがそこまで硬くはないのか、結晶然とした硬そうな見た目の割りに触感はムニムニとした柔らかいものだった。


「摂取しない方が良い……ってことは、煙草にしない方が良いかなぁ。したら面白そうだよねぇ……」


どうせマイスペース内で一度試しで吸う事にはなる。デスペナルティになったとしても……ルプス辺りにしか文句は言われないはずだ。

あとで作ってみようと密かに心に誓い好奇心に従い、続いてメアリー=シンドロームの素材の方を見ていく事にした。


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