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Episode17 - R3


「さて……最後、確認するかぁ」


私はインベントリ内から、今回手に入れた特殊戦利品を出現させる。

骨があしらわれた、小さな手鏡だ。

但し、鏡の部分は私も、マイスペース内の家具なども何も映し出していない。

……前回は……鍵以外だと煙質が解放された時か。

あの時から【狼煙】と【怨煙変化】にはかなり助けられている。特に【狼煙】は私の足りていなかった火力面を大幅に向上させてくれた。

同じように、何かしらのコンテンツが解放されるのならば良いのだが……今回は少しばかり先にネタバレを喰らっている為、リラックスしようにも身構えてしまう。


「患猫ちゃんはコレが紫煙外装の強化に使える、みたいな話があったって言ってたよねぇ」


正確には、過去存在していた怪物を討ち倒す事で強化が出来るかもしれない、なのだが……細かい事は良いだろう。

もし倒すだけで強化が出来るのならば、私は既に紫煙外装の強化を行えているのだから。

……ま、一旦概要は確認しておくかぁ。

この手鏡がどのような効果を持っているのかを確かめるのは大切だろう。


――――――――――

死骨の手鏡

種別:特殊戦利品

品質:-

効果:紫煙外装の強化1/3

説明:骨があしらわれた、小さな手鏡

   今は何も映しておらず、今後も何かを映す事はない

   彼女の生に対する諦念がこのような形で現れたのだろう

――――――――――


「うわ……これだけで分かっちゃうのも中々だなぁ」


説明文は一旦置いておいて。

効果の部分。これがこの戦利品のメインであり、問題点だ。


「つまりは、あの場のボス全員倒さないと紫煙外装の強化が出来ないって事でしょ……?えぇー……大丈夫かな」


あの場にあった門は、グレートヒェン以外に後2つ。

そして三分の一という数字が示すのは……全てのボスの打倒。これが答えだろう。

……グレートヒェンを3回倒せば終わるとか……いや、無いなぁ多分。そんな簡単な条件で良いならすぐにでも終わらせるけど。

同じボスを倒す事で数字が進むとも思えない。

何なら、グレートヒェンを討伐した事でこの手鏡を得たのだ。他のボスも同じように特殊戦利品を得る事が出来ると考えた方が自然だろう。

そして、それらを組み合わせる事で、やっと紫煙外装が強化出来る。

あり得そうな話だ。


「最初にやるべきは装備の強化かな。うわー、手斧の強化が出来たら『酒呑者』にリベンジ行こうかなって思ってたのに」


イベント等が終わった後で良かったと考えるべきだろう。

直近で注力しなければならない事柄は他になく、地力の強化期間にするならうってつけ。

だからこそ、まずやるべきことは1つだ。


「……あ、メウラくん?ちょっとこの前頼んだばっかりで申し訳ないんだけど、新しい素材が手に入ったから装備の更新をしたくてさ。うん、この後お願いできる?」


うちの専属装備製作班メウラに連絡をとろう。



--紫煙駆動都市エデン・娯楽区


「まぁーたお前は……コレ、『Sneers wolf』の工房でも見た事ねぇぞ?」

「あー……まぁ、最前線?みたいな所の素材だしね。ボス素材だし」

「どうせ【世界屈折空間】の奴だろ?了解。……デザインはそのままで、性能を上げれば良いんだな?」

「うん。あんまり変に変えても周りが私だって分からなくなりそうだし……あ、『黒血の守狐』のセット効果消えちゃうかな」

「消えるだろうな。代わりにこの……【死骨王者】か?そっちが付きそうだが」


いつも私のパーティが使う喫茶店にて、素材の受け渡しを行いながら強化プランに関してメウラと話し合う。

デザインを変えるわけでも、新しく何かを作ってもらうわけでもなく、単純に性能向上を図るだけの為……そこまで煮詰める必要もないのだが。


「あー……素材自体は結構取れるだろうから、ちょっとそれで適当な奴にセット効果付けてもらっていい?場合によっては一旦強化しないかも」

「良いのか?確実に黒血狐よりは上位だろ、このボス」

「いやぁー上位は上位なんだろうけど……スケルトン系っていうか……私と致命的に合わなそうな気がしてさ」

「成程、お前無茶して攻撃喰らう事はあるが基本は回避がメインだもんな」

「失礼な。しっかりスキルでも【回避】を持ってるくらいには回避盾だよ私は」


今私の装備についているセット効果は、液体関係の操作にボーナスが付くという効果。

一見すれば、私の持つスキルの中では【酒精生成】程度しか恩恵がなさそうに見えるものの……【状態変化】によって、紫煙や酒気もその効果を受ける事が出来ているのだ。

対して、【死骨王者】のセット効果がどのような物になるかは分からないものの……恐らくは近接戦闘系のボーナス、もしくはスケルトン由来の再生系のボーナス辺りになる……と思う。多分。

……操作系のボーナス、割と使い勝手良いんだよねぇ。……どうにか出来たら良いんだけど。

どうにか使いたいセット効果を引き継げれば良いのだが……そのようなシステムは存在していないのが現状だ。

最悪、残りの2体のボスか『酒呑者』のセット効果に期待する事になるかもしれない。

そのような話をある程度した所で、私は席を立つ。


「じゃあちょっとよろしくね」

「おう、レラはこの後どうすんだ?」

「ん……まぁ……ボス戦かな。負けそうだけど」


取り敢えずは、紫煙外装の強化を目標に。

どちらにするかは置いておいて……相性の良さそうな方を選ぶとしよう。


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