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Episode16 - R2


--マイスペース


グレートヒェンの討伐報酬。

通常のボスとは違い、2つの形態があった為なのかその数は多い。

それに加え、今回は特殊戦利品と新しいスキルまでラーニングしている。

確認には中々に時間が掛かりそうだった。


「えーっと……装備の強化に使えそうなのと煙草に使えそうなのを分けるか」


まず装備に使えそうな素材。

こちらは主に鎧形態のモノだろう。

耐久性がある素材を使えるとなれば、今まで土壇場でやってきた自らの身体を犠牲にする戦い方も少しばかりはマシになるはずだ。

それに加え、新しいサブ装備なんかも作れる可能性だってある。


「よし、仕分け完了。詳細は……気になった所だけ見ていこうかな」


まず見ていくのは、人間形態の報酬。

骨が人間の様な形をとっていたからなのか、他の生物系のボスとは違い、血液や肉などと言った素材は無い。

代わりに骨粉など、菜園の方で使えそうな素材が多くなっている。


「……心臓ねぇ。あったんだ、心臓。無さそうなのに」


その中でも目を惹いたのは、スケルトン系のモブから出てくる素材にしては珍しい、死骨王者の心臓と名の付いた素材だった。


――――――――――

死骨王者の心臓

種別:素材

品質:B-

説明:祖は死なず、怨念と執念を持って動き続ける

   誰が為に……それは今となっては分からない

――――――――――


「説明が説明になってないのはいつも通りとして……ふむ」


インベントリ内から取り出してみると、白く陶器のような球が手のひらの上に出現した。

人間の心臓とは形も何もかもが違うものの、相手はゲーム内の存在。変に考えても仕方ないだろう。

触った感触は見た目に反して硬くはなく、押せば押した分だけ反発してくる。ちょっと癖になる類のものだ。

……怨念、観えたねぇ。

そうして触っていると、時折指が痺れる様な感覚がある。

しっかりと観てみれば、かなり薄いものの怨念が漏れ出ているのが分かった。


「まぁ、もうちょい検証してからこれは装備行きで」


人間形態の素材で他に気になるモノはない。

強いて言えば、金属混じりの背骨とか、人の肌のような骨皮という素材もあったものの……鎧形態の素材を考えると、耐久性に難がありそうだった為、煙草用の素材行きだ。

……次は鎧形態だけど……こっちはこっちで中々多いなぁ。

続いて、鎧形態。

こちらは主に、鎧の破片や壊れた剣や盾などが報酬として配られている。


「えぇーっと。使えそうなのは……死骨王者の鎧片と、外骨鎧装かな?」


――――――――――

死骨王者の鎧片

種別:素材

品質:B-

説明:【死骨王者】が身に纏っていた鎧の欠片

   複数の層からなる骨で出来ている為、衝撃に強く耐久性も高い

   元は再生能力もあったようだが、欠片になってしまった為、現在は失われている

――――――――――


――――――――――

死骨王者の外骨鎧装

種別:素材

品質:B+

説明:【死骨王者】が身に纏っていた鎧

   複数の層からなる骨で出来ている為、衝撃に強く耐久性も高い

   再生能力を持ち、少しの傷程度ならばすぐに修復される

   下手に着ようとすれば、鎧に宿る情念によって身を滅ぼす事になりかねない

――――――――――


「うん、完全版とその破片って感じ。……メウラくんなら装備に回せるかな。紫煙技術なら骨を服用の素材に変えるとか出来そうだし……イケるか」


これらは確実に装備用。

スケルトン由来であろう再生能力が装備についてくれれば……それはそれで有難く。

耐久性が向上すれば、それだけで生存確率が上がるのだから使わない手はないだろう。

再生するように使えば鎧片に関しては幾らでも作る事が出来るだろうし、なんだかんだ良い素材達だ。

……さて、問題はこの後だ。

今回私が手に入れたのはこれだけではない。

特殊戦利品と新規スキルの確認の2つが残っているのだ。


「……戦利品の方は……後でも良いかな。下手すると戦闘とかも視野に入れないとだし」


インベントリ内に存在している、鏡のようなアイコンのそれから目を逸らし。

一度私は新しくラーニングしたスキル……【疑似腕】の方に意識を向ける事にした。

何事も準備というのは必要だからだ。今回は心の準備だが。


「明らかに私のスタイル的に発現したスキルだよねぇ、コレ」


――――――――――

【疑似腕】

種別:汎用

段階:1

熟練度:48/100

効果:行使者以外には見えない、不可視の腕を2本出現させる

――――――――――


効果はシンプルで、試しにルプスの前で使ってみた所……私とスキルを共有している彼女も見えない腕が出現した。

実体自体は有るようで、見えていないにも関わらずルプスが気配だけで空中に浮かんでいる【疑似腕】を捕まえた時には驚いたが。

……空中に浮く、見えない、実体がある。うん、私が紫煙とか酒気でやってたのがスキルになった感じだ。

出現本数自体は少ないものの、相手に見えないというのはかなりのアドバンテージだ。

なんせ、私が何の動作もしていなくとも……届くのならば、相手の首を突然締める事だって可能なのだから。


「うん、良いスキルだ。……多分【投げ斧使い】とかも乗るしコレ」


他のスキルが乗るというのは大きい。

今後の私の使い方にもよるだろうが……戦闘の幅がかなり広がった事だろう。


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