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Episode5 - E4


「ちなみに、レラ達はどちらが良いんだ?」

「私はどちらでも。まぁ外界の方は、能力制限されちゃうし、現状だと待ちが良いかなぁ」


私の能力の大半は紫煙に関係している。

最近になって酒に関するものを手に入れたものの、それまでは基本的に紫煙を使う事を意識したスキル構成になっていたのだ。

だからこそ、現状自由に煙草を吸うことが出来ない外界には降りたくはない。

紫煙を常に補充できる様な環境ではないのだから。


「では、待ちか……」

「別に伽藍ドゥくんが行きたいなら行っても良いよ?何人連れていくかにも寄るけど、多分他の班も私みたいな暇人いるでしょ」

「いや、行く気はないんだ。ただ、引っかかる事があってな」


彼はそう言って、私の紫煙によって潰されては紫電に灼かれて消えていく敵性モブを見て。

その後、明後日の方向へと視線を向ける。

釣られて私もそちらの方向を見るものの……そこには道があるだけで、特に何かがあるわけでは無かった。


……いや、これ私が見えないだけで、伽藍ドゥくんは何か見えてるパターンかな。

彼の目の紫煙外装は、見るという行為に対して意味を見出す能力が多い様に思える。

今回、私の【観察】と同じ様にHPバーを確認する能力を行使しているし、他にも……外界でのボス戦では、相手から見られなくするという能力まで使ってみせた。


どうしても私の手斧よりも多機能に思えてしまうものの、それぞれの能力の出力が低いと思う事で私は無理矢理納得はしている。

……こうしてみると、結構理不尽だよね。私のも。

自身の操る紫煙全てに紫電を発生させ、纏わせながら攻撃させる事ができるのだから、その出力自体は高いだろう。


「引っかかる事ねぇ……」

「あぁ。確証がないから特にこれ、とは言えなくてな」

「成程ね。ちなみに敵の弱さと関係してる?」

「勿論」


現状出現している敵性モブ達は、ハッキリ言って弱すぎる。

紫煙外装を使う事を前提に作られているダンジョンに比べると……やはり楽としか言いようがないのだ。

確かに、有効な能力を使わねば倒しきれないという点は厄介極まりないだろう。

しかしながら、それだけだ。

それ以外は言ってしまえば、【地下室】の影道化にすら及ばない。


「ふぅん……まぁ良いか。ちなみに、他の区画ってどうなってるか連絡きてる?」

「一応来ているぞ」


話を聞くと、他の区画も区画で似たような状況らしい。

流石に出現している敵性モブの種類は違うものの、基本は倒し切れない状態との事だ。


娯楽区うちは置いとくとして、管理区にはゴブリン達が。生産区には血で出来た人型のスライムが出現しているそうだぞ」

「治世区には……一応今回のイベント中は入れるんだよね?」

「入れるな。ただ数は絞られてしまっているようだがな……。一応、出現しているのが鷲をメインにした鳥系の敵性モブらしい」

「あー……空から飛んできてる類かな?区画内に入れてなくても問題ないように」


治世区の内情は知らないものの。

今回のイベントが終わった後にどうなっているかによって、今後プレイヤーが自由に出入りできるか等は決まるだろう。

流石にこんな状況でも武力の塊であるプレイヤーの数を絞っているのだから、中で何が起こっていても……まぁ関与はあまり出来ない。

……運営ってよりは、エデンに住んでるNPC側の方針っぽいのも中々に問題だよねぇ。


「聞く限り、バリエーションが豊かなのは娯楽区だけなんだねぇ」

「そうらしいな。嬉しいのか嬉しくないのかは分からないが……」

「嬉しいと思っておこうよ、見た目だけで考えるなら飽きが来ないんだからさ」


少しばかり、他の区画に足を向けようかと思ったが踏み止まる。

流石に伽藍ドゥを前に勝手な行動は出来ないだろうし、何なら外周部に残してきた3人の事もあるのだ。

一応はパーティリーダーという役目を押し付けられているのだから、そこはしっかり役目を果たさねばならないのも事実。


「よし、聞きたい事も聞けたし……一旦戻ろうかな」

「次からは通話でも問題はないぞ」

「通話で問題ない内容ならね。全体会議っていつから?」

「全体会議は……今日の終わりだな。大体23時くらいだ。区画の面子変えなんかもそこで決めるから、もし希望があるなら聞くぞ」

「いや、いいよ。大丈夫」


私は一度、周囲を紫煙の武具によって一掃した後。

伽藍ドゥへと別れの言葉を言ってから空中に跳び上がる。

メウラ達から連絡はないものの、連絡がないからと言って余裕があるとは思っていない。

……手土産は用意出来てないけど……まぁ情報で満足してもらおうかな。

私達のパーティがどう動くかは、これから現場で話し合えばいいだけの事だ。

見栄えを気にするのであれば……ほぼ決まっているようなものではあるのだが。


「対策、考えてはあるけどなぁ……」


気が進まないのは確かだ。

自由に動けない、というのは誰であってもその足取りを重くするのだから。


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