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Episode4 - PT1


--マイスペース


【紫煙駆動都市エデン・管理区よりお知らせが届いています】

【メニュー内のメッセージ機能より確認してください】


「ほう……?」


紫煙外装がどのように変わったのか、特殊戦利品とは何かを確認する為にマイスペースへと戻ってみると、突然そのようなログが流れ出した。

管理区といえば、このゲームにログインしてすぐに向かった場所であり、この前のイベントの受付で久々に訪れた区画でもある。

何故ならば、


「エデンの管理とか整備とかしてる所が一体何の用だろ?」


私だけに言える話ではなく、他の大多数のプレイヤーに該当する話ではあるが……そも、このエデンという都市において、何かを管理、整備するような場所へと訪れる機会は本当に少ない。


プレイヤーに必要な物資は生産区で。

息抜きに必要なものは娯楽区で賄えてしまうからだ。

治世区は未だ足を踏み入れた事がない為割愛するものの……その次くらいには行く理由がない区画ではあるのだ。


「えぇっと、メッセージ機能……これか」


全く開いたことのなかったメッセージ機能を開き、送られてきていた内容に目を通し……私は大きく息を吐いた。


「ルプス」

『はい、何でしょうか』

「消耗品の補充、頼んだ」

『畏まりました。ご主人様は?』

「ちょっと用事が出来てね。管理区に行ってくるよ」


慌ただしく準備をしていると、私の様子を疑問に思ったのか。

他の従者を呼び出し消耗品を補充させ始めた上で、こちらへと話しかけてくる。


『管理区、ですか。一応理由を聞いてもいいでしょうか?』

「あぁうん。なんか、んー……なんていうか。こう、出張?というか。外出許可、というか。そういうのが出たみたいなんだよね」

『外出許可……?』


話している私自身、分かってはいない。

管理区から来た堅苦しいメッセージを要約すると、

【キミ、結構活躍してるじゃん。ちょっとエデンの外に仕事行ってみない?】

という内容だ。


『それだけでご主人様が他の事を優先しますか?』

「あは、やっぱ分かる?」

『分かります。外出許可云々だけならば、適当な理由を付けて後回しにするでしょう』


私の行動に疑問を覚えている時点で、本当に話が早くて助かる。

従者として考えると踏み込み過ぎているのかもしれないが。


「そうだねぇ。あくまで私が今回管理区に行くのも、いつも通りの好奇心さ」


準備は出来た。

【世界屈折空間】で消費したアイテム類の補充は出来たし、装備類の簡易的な点検も出来た。

管理区で戦闘が起きるとは思わないものの、戦闘があると思っていなかった【世界屈折空間】であんなことがあったのだ。

戦闘が絶対にない、とは言い切れない。


好奇心いつもの病気、ですか』

「うんうん。ほら、見てみここのメッセージの最後」

『――『紫煙技術について』』

「そういう事」


紫煙技術。

主に生産系スキルなどで目にする謎の技術であり、メウラですら知らないものだ。

このゲームを始めた当初から名称だけは判明していたものの、それがどう使われているのかは分からなかったもの。

それの詳細を知る事が出来る、というだけでも行く意味がある。


「じゃ、行ってくるよ。長くても1時間くらいで戻ってくると思うから菜園の方は適当にやっといて」

『畏まりました。いってらっしゃいませ』




--紫煙駆動都市エデン・管理区


「エデン外に出てもらって、調査をしてほしいのです」

「調査、ですか」

「エデンはその名の通り、紫煙駆動都市。常に動き続けている為、外の情勢が重要になってきます」


管理区にてプレイヤー専用の窓口へと行ってみると、そこに居た受付NPCから説明が始まった。

……外の情勢、ねぇ。確かに気になるな、外。

今の私の好奇心の行先は紫煙技術に向いているものの、外について気にならないと言えば嘘になる。


「確か、外って危ないんでしたっけ」

「えぇ。エデンや他の紫煙駆動都市のように紫煙による保護機能もありませんし、そんな環境に対応した生物達が生きています。なので、紫煙外装が二式へと至った人のみ調査依頼を出しているのです」

「あー……そこが繋がってくるのか」

「一式から二式に至っただけでも戦力に差が生まれますから。もしも調査に協力してもらえるのであれば、こちらの書類に署名をお願いします。一度持ち帰っても構いません」


一枚の羊皮紙を差し出される。

薄っすらと紫煙が漏れ出ている為、これも特殊なアイテムなのだろう。

そこには堅苦しい内容で【外で何があっても本人の責任。一応デスペナ後はエデンに戻ります】と書かれていた。


「聞きたいんだけど、外に出るのに必要なものってある?この書類に署名しただけで出れるの?」

「いえ、必要なものが1つ。紫煙技術を使ったガスマスクが必要となります」

「――ほう?」


どうやら、私にとっての本題が始まるようだ。


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