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Episode17 - BR&C1


--マイスペース


「ま、先に確認作業っと」


一度マイスペースへと帰ってきた私は、今回『解体者』との戦いで得た討伐報酬等を確認していく。

勿論、そのまま最後の1つである【霧燃ゆる夜塔】へと挑んでも問題はなかった。

消耗品は十二分に持っているし、HPも回復済み。

STに関しても、普通の煙草を吸っていれば回復していくのだから足りないという事は起こりえない。

ならば何故一度帰ってきたかと言えば……単に、今まで得てきたMVP報酬の件があったからだ。


『信奉者の指輪』は外付けタンク。

『四重者の指輪』は従者の召喚。

『人斬者』は素材ではあったものの、メウラの加工によって『真斬のピアス』という危機察知能力がついた装飾品になっている。

ここまでのMVP報酬全てが、現状のゲームプレイに影響を与える程度には優秀な効果を持っていたものだったのだ。

ならば、今回もその可能性がある、と考えるのはおかしい話ではないだろう。


「えぇっと……うん、いつも通りのドロップ品」


MVP報酬以外は基本的にはいつも通り。

他と違って、壊れた農耕器具が数本ほど入っているものの直したとしても私は使わないだろう。多分。

装備に使うかは……メウラに渡してみて、その特性を見てからになる為に今ここで判断する事は出来ない。

必要だったら周回するだけだ。


……えぇっと、今回も指輪か。

続いてMVP報酬を確認してみると。

今回も他の2体の例に漏れず、『解体者の指輪』という装飾品がインベントリ内に入っているのが確認できた。


「……おぉっと?」


そしてその効果は、といえば。


――――――――――

『解体者の指輪』

耐久:100/100

種別:指輪

品質:EX

効果:ハウジング機能強化

説明:『解体者』が着けていた金属製の指輪

――――――――――


予想とは少し違うものだった。

戦闘でも使える『信奉者の指輪』とは違い、『四重者の指輪』のようにマイスペース限定で効果を発揮する類の物。

しかしながら、ハウジングメニューを開いた私はその内容に少しばかり目を見開いた。

何故ならば、そこには【簡易菜園が作成可能になりました】という簡素なログが浮かんでいたからだ。


「……ルプス!」

『お呼びでしょうか』


早速私はその内容を試すために……というか。

試すための準備をルプスと行う事にした。


「前から言ってた計画を進めるよ」

『……ッ!まさかそれは……』

「うん、そのまさかさ。――第一回、マイスペース大改装の時間だ!」

『やっと、やっとなのですね……!』


ルプスが崩れ落ちるように嘘泣きをしているが放っておいて。

ハウジングメニューを開きつつ、ルプスとああだこうだ言い合いながらマイスペースの内装を一気に変えていく。


まずまずとして、作業部屋と寛ぐ為の部屋は分ける。

このゲームを最初に触った時はほぼ興味のなかったハウジングではあるが、今のここはある意味でルプス達との共用の部屋。

ならば、お互いに過ごしやすく作業のしやすい部屋に変えていくべきだろう。


……ん、菜園の方に気を取られて気が付いてなかったけど、素材を使って家具も作れるようになってる。

その過程で気が付いたが、今まではゲーム内通貨を使う事でしか買えなかった家具類が、手持ちの素材を消費する事でも獲得する事が可能となっていた。

これも『解体者の指輪』の効果なのだろう。

しかしながら、私が持っている素材は主に動物類や道化師が多く……デザイン的には猟奇的な家具類しか出来そうにない為、ここもゲーム内通貨を使って解決していく事にした。

財布の中身自体は問題はない。

何せイベント前に延々『四重者』を倒していたのだ。ボス素材を生産区の方で少し流せばすぐに回収できる。


「ルプス、作業部屋の要望は何かある?」

『私が要望を出しても良いのですか?』

「うん、というか私よりも確実に使う頻度は多そうだからね」


寛ぐ部屋は別段気にしなくてもいい。

適当に洋風に壁紙を変え、暖炉を設置し、その前に小さなテーブルと1人用のソファを2つほど設置する。

これで完成で良いし、何ならこれ以上はハウジングガチ勢の人達に任せた方が良い案件だろう。


『では、換気が出来るようにしてもらえると有難いです。紫煙が使われる都合上、それぞれの作業で発生する臭いが混ざってしまって……』

「あー成程。普段昇華をマイスペースじゃ使ってなかったから気が付いてなかったなぁ……」


言われた通り、作業部屋の方には簡易的に換気扇を追加して空気が入れ替わるようにはしておく。

現状出来るのはこの程度でしかなく、これでまだ臭いが混ざったり籠ったりするのであれば……換気扇を増やしたり、別の手段を考えよう。

その後もルプスの要望を聞きつつ、自分が使う時も想定した上で煙草、フィルター用の作業台普通の木製机を設置して完成とした。


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