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Episode8 - R5


「へぇ、これが……お。開けられる」


口に煙草を咥え、新たに紫煙を追加しつつ。

私は棺桶の詳細を確かめていく。

どうやら、コレの中にこのバトロワ中に拾ったアイテムや、武器等が入っているようで……今回は、2つの四角いアイテムだけが入っていた。

1つは白く、もう1つは紫色の結晶で出来たアイテムだ。


――――――――――

施設検知箱

種別:汎用

効果:使用者から一定範囲以内の施設を検知する事が出来る

   ※イベント限定アイテム

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――――――――――

範囲検知箱

種別:汎用

効果:生存可能範囲の検知が出来る

   ※イベント限定アイテム

――――――――――


「とりあえずっと」


手に入れて早速だが、範囲検知箱を使ってみると。

私の周囲には『予想生存圏範囲外』という文字と共に、矢印が1つ出現する。

矢印の示す方向へと試しに数歩歩いてみると、少しだけ矢印自体の大きさが小さくなったのが目に観えた。


……直接マップとかには範囲を見せない形式ね。

範囲を見せないのは何か理由があるのか……まぁそのうち理由は分かるだろう。


「他のプレイヤーは来ないし……他の方でやってる感じかな」


その言葉を言うや否や、森があったと記憶している方向から爆発音の様なものが聞こえてくる。

どうやら大規模な戦闘が始まっているようで……離れている位置なのにも関わらず、空に届きそうな火柱や、紫煙の巨人などが出現しているのが確認出来た。

正直【投擲】に能力を振っている手斧では部が悪いなんてものではない。


「……そうだ。あの紫煙駆動……ちょっとこっちとは違ったな」


脳裏に、先程まで戦っていた黒外套の紫煙駆動らしき天秤が過ぎる。

あれの効果自体はバフを与えるものではあったが……私の手斧の様な一極型ではなかったのは確かだ。


……ステルスと遠距離バフだけでも2つ。そういう紫煙外装だったならそこまでの話だけど。

未だ、私の手斧の能力は投擲した時に自動で戻ってくるだけ。

十二分に便利ではあるが……便利なだけで、強くはない。メウラや黒外套の紫煙外装を見た上でそう思う。


「強化手段とかあるのかなぁ……まだ分かんないけど」


煙草を吸いつつ、出現している矢印の方向へと歩き出す。

今はイベントに集中すべきだとは思うものの。

自身の主力武器を強化出来るかもしれないとなれば、気になってしまうのも無理はないだろう。

それに、最近は投擲よりも近接での戦闘が多くなってしまっている。


「まぁ、あるとしたら……あの扉かなぁ」


【世界屈折空間】に出現した扉。

あの場に存在するダンジョンの攻略、それを行う事で開くであろう扉の先にあるもの。

私はトッププレイヤーや最前線組なんて言われる類のプレイヤーではない為に、未だ2つしかクリアしていないものの。

他の、それこそパーティを組んでいるプレイヤーならば既に扉の先へと進んでいてもおかしくはないだろう。


……気になってきちゃったなぁ。

これも好奇心なのだろうか。いや、恐らくは探究心などと言われる類のモノの筈だ。

その証拠に、まだ私はイベントで勝つことを放り捨ててはいないのだから。


「丁度良くサンプルがたくさんあるんだし……観れるものは観て、情報を蓄えようか」


勝つ為に観て。

その後の為に備える。

本当に紫煙外装の強化がされているかどうかは置いておいて。もしもされているのであれば……観る事によって得られる情報は、私の生存時間に直結するものになるはずだ。


考えつつも進んでいた為か、既に矢印自体の大きさは大分小さくなっている。

それに比例するかのように、聞こえてくる戦闘音は大きくなっていた。

何せ、私が進んでいる方向は、


「ここから森かぁ……私には相性が悪いって言えばいいのか迷う所だねぇ」


先程火柱などが見えていた方向なのだから。


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