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Episode13 - C2&M2


魔煙術まえんじゅつ……結構重要っぽいねコレ」


指で『具現 - 薬草の煙草』を回しながら、私は一つ息を吐いた。

というのも、この魔煙術というコンテンツは戦闘でも生産でも重要になってくるであろうコンテンツだったからだ。


「今回作ったのは具現だから、具現煙か」


まず、魔煙術には2つのカテゴリが存在する。

1つ目は私が今回薬草で作った具現と名の付く、具現煙。

2つ目はまだどうやって作るのか分からないものの、凡その検討が付いている昇華煙。


それぞれの特徴として、具現煙は他ゲームにおける所謂スクロール。

道具を媒介にして魔法攻撃などを行えるタイプのものだ。

数を揃える事で様々な場面で有利に動ける事だろう。

そして昇華煙はといえば、


「使った素材の能力を一時的に得る、ねぇ」


煙草を作った際に使った素材……葉の部分として使ったモノの能力を一時的に得る事が出来る、というもの。

所謂バフ系、それも使った素材の元が強敵であるならその分だけ強化されるであろうバフだ。

使うのと使わないとでは話にならない程度には戦力差が出るのは間違いない。


……んー、情報は出てない。まだサービス開始して間もないから?まだ秘匿してるって人も多そうだねぇ。

ゲーム内掲示板である程度探してみても、それらしい情報はまだ一切ない。

検証班らしき人も居るが、まだまだエデンのマッピングや、様々なコンテンツの方に掛かり切りになっているのだろう。


「……この煙草1本だけでも十二分に鹿の相手は出来そうだよ」


――――――――――

『具現 - 薬草の煙草』

品質:C -

効果:HP回復効果

   ST回復

具現:HP自動回復ST継続消費

説明:薬草を使った手巻き煙草

   紫煙技術による特殊な加工がされており、人体への影響は喫煙以外のものが生じる事はない

   魔煙術:具現によって術が施されている

――――――――――


HPの即時回復と共に、ST回復。これだけならば便利な回復アイテムだろう。

しかしながら、その下。

魔煙術によって、リジェネ効果まで付与されているとなれば話は変わってくる。


「STの消費はあるけど、それでも十二分に強すぎるなぁ……しかもコレが序盤で作れるんでしょ?……やっぱこの後難度高そうだ」


現状、私のSTは紫煙駆動か生産コンテンツを触らない限りは基本使わない。

それの使い道が増えた、と考えるべきか。それとも管理をしなければならなくなったと考えるべきか……迷う所ではあるが、何よりも。

これが序盤で作れてしまう点に私は天を仰いだ。

あのダンジョン達があと何層ほどあるのかは分からない。しかしながら、紫煙外装だけではなく魔煙術もフルに使って進んでいかねばならないのが用意に想像できてしまう。


「……あは、素材周回ってのはいつの世でもMMOの常ってワケか」


だが、分かってしまえばそれだけだ。

十分な準備を行い、自身の練度も上げればいいだけ。

寧ろ何が必要なのかが明確になって良かったとも言える。


「よし、じゃあ次。昇華煙の方も作ってみよう。……まぁ勘ではあるけど」


そうと決まれば試作品として昇華煙も必要だろう、という事で。

私は早速新たにフィルターを加工し、今度は狼の毛皮を使って煙草を作りはじめる。


昇華煙は使った素材の能力を得る事が出来る魔煙術。

そして具現煙の煙草は素材……それも、元は恐らく敵性モブ由来ではない植物の薬草で作る事が出来た。

ならば、敵性モブ由来の素材で作れば昇華煙の煙草が出来るのではないか?という浅い考えではあるものの……それでも大幅に間違っているとは思えない。


「よし、出来た……けど、これも具現か。成程ねぇ」


しかしながら、出来たのは『具現 - 狼皮の煙草』。

俊敏性が上昇する具現効果を持った煙草であり、私が目的としていた昇華煙は作れていない。


「フィルター、かな。原因」


サンプルは2つ。素材はそれぞれ由来の違うもの。

その内、フィルターだけは同じものを使っている。

となれば、安直だがフィルターを別のモノ……魔結晶以外の何かで加工する事が出来れば、昇華煙の煙草が作れる……はずだ。


「んー……闇雲にダンジョン漁ってみるのも良いかもしれないけど……」


行っていないダンジョンはまだ2つもある。

その内、どちらかに昇華煙の元となる素材があるかもしれないし、無いかもしれない。

そもそも、私が行った2つのダンジョンにある可能性もある。


「うん、流石に面倒だ。掲示板で探すかー……それとも早速、新たに出来た知り合いに連絡を送るべきかな?」


取れる選択肢は無数にある。

出せる情報も幾らかある。

ならば取引程度は出来るだろう。

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