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第6話

 これがあたしたちの高校の頃に端を発した物語。

 多田津はあたしたちの望み通り、死刑判決を受けた。

 時の法務大臣はすぐに執行の指示を下し、彼は火あぶりとなった。

 最後何かいう事はないかと聞かれると、彼は笑いながら答えた。

「どさくさを作ってくれたガキどもに感謝するよ。おまえらは間接的に俺を手伝ってくれたんだからな。せいぜい俺を忘れずに間接的殺人者だと自覚して残りの人生を楽しんでもらいたいね」

 いかにも彼らしい。

 彩紗、祥、等衣の死体は上がってはない。

 本当に現実だったのだろうか?

 両親と弟を殺した三人。

 あたしは確かに復讐した。

 遼に助けられて。

 あの冬の出来事は、まだ箱の中だ。

 封鎖した空間を明けたばかり。

これから事件になるかもしれない。

 いや、むしろあたしは望んでいる。

 あの事件が、あたしに降りかかってくることを。

 何故ならその時こそ、事件が現実になるからだ。

 あたしも多田津の言う間接的殺人者として生き、最後は殺人者となろうとしている。

 それこそが現実。

 そうなってこそだ。

 あたしの物語はそこで終わる。











 あれを現実にするわけには行かない。

 あの事件が会ったこと自体が俺の存在に関わるのだ。

 決して羽香の為だなどとは言わない。

 全ては俺がやったことだ。

 俺が事件を起こし、俺が事件にピリオドを打った。

 羽香は根掘り葉掘りするだろう。

 だが、そうはいかない。

 空間封鎖を解いたとはいえ、まだ事件は俺の手の内だ。

 いくらでも表に出さない手はある。

 羽香の対策室に呼ばれたが、どうしようかというのが正直なところだ。

 なれ合いなど俺の好みじゃない。

 生きる場所は騒乱の中しかないのだ。

 伊馬が第二次計画を立てている。

 乗りはしないが利用させてもらう。

 再び帝都を混乱に突き落とす。

 ガキどもはわめき散らかしながらまた暴れ出すだろう。

 それこそ俺が求める場所であり、俺の喜びだ。

 彩紗がまだ生き残っている。

 次はコイツが目標だ。

 せいぜい踊るが良い。

 俺は全力で楽しませてもらう。














 二人を繋ぐ第二次蜂起が帝都を襲った。


「よろしく、室長」

「こちらこそよろしく」

 同じ部屋で、遼と羽香は再開した。


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