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第二百十八話

辺境伯と話した日から数日が経った。


「よっしゃー!今日から活動するぞぉぉぉ!」

アルージェはベッドから勢いよく立ち上がり、早速行動を始める。


怪我自体はラーニャが治癒魔法を行使してくれたので、すぐに治ったのだが大事を取って鍛冶や訓練をさせてもらえなかった。

ミスティとエマに余計なことをしないようにと見守られながら監視されながら大人しくしていた軟禁されていた


「まずはやっぱり武器の手入れだよねぇ」

鎧騎士との戦いで使った手持ちの武器を修理しようと鍛冶場に訪れる。


「おっ、アルージェかなんか久しぶりだな!」

鍛冶場ではお抱えの鍛冶師達が各々作業していたが、一人がアルージェに気付き声を掛けてくる。


「あはは、まぁ色々有ってほとんど部屋で過ごしてたんですよ」

アルージェは目を背けながら話す。


「ほーん、まだ若いのに大変なんだな。まぁ、いつものとこ空けてあるから好きに使えよ!」

深入りしたらダメだと鍛冶師は察して、作業に戻っていく。


「ありがとうございます!」

早速いつも使わせてもらっている鍛冶場に向かう。

向かう途中で可変式片手半剣トツカノツルギの状態を確認する為に、アイテムボックスに手を入れる。


だが、どれだけアイテムボックスの中を探っても可変式片手半剣トツカノツルギを見つけることが出来ない。


アルージェの顔がサーって青ざめていく。

「・・・。失くしたかもしれない」


戦いの後の記憶が無い以上どこに置きっぱなしにしたかも分からない。

こんなとんでもない出来事が起きてもアルージェは慌てない。


ルーネに支離滅裂な念を何度も送っているが全く慌てていないのだ。


緊急だと察してルーネが来てくれるようだ。


「意識を失ったのはあの廃教会だからあそこに置いてきたのが濃厚か・・・。いやでも私兵団の誰かが拾ってくれいるかもしれない。あんな大きな武器だから誰かの目について拾ってくれてるよね・・・?鎧騎士さんの武器と鎧はしっかりとアイテムボックスに入ってるのに、なんでこんなことになるかなぁ・・・。」

アルージェはルーネを待つ間ウロウロと落ち着きが無い。

それにブツブツと独り言を言っていた。


「バウッ!」


「うわっ!?」

ルーネに気付かないくらい、頭の中が可変式片手半剣トツカノツルギでいっぱいになっている訳ではない。


「ルーネ!やっと来てくれたんだね。入ってないんだよ!アイテムボックスに可変式片手半剣トツカノツルギがアイテムボックスなのにだよ?なんで!?」


「ワウゥ?」

いまいち何を言っているかルーネはわからなかったが、いつも使ってた可変式片手半剣トツカノツルギが手元に無いのだと言いたいのだろうと推測した。


ルーネはスンスンと鼻を動かす。

アルージェの匂いが強くついているものの場所を把握する。


ルーネは未だに何か言っているアルージェの襟元を咥えて、自分の体に乗せる。


まずはアルージェが寝ていた部屋。

扉を開けてアルージェが覗くとミスティとエマが一緒に枕に顔を埋めていた。


「二人とも何してるんですか?」

アルージェは気になってしまったので、声をかける。


ミスティとエマはギギギと壊れた機械のようにアルージェの方を見る。


「もしかして僕が寝てたところ掃除してくれてたんですか?」


「そ、そうですよ!ね?ミスティさん?」

エマはミスティに必死にね?ね?と続けている。


「う、うむ。その通りだ。妻になるものとしてやはり掃除くらい出来ないとな。ア、アルージェこそどうしたんだ!この時間は鍛冶場にいる予定じゃなかったのか?」

ミスティは咄嗟に話を逸らす。


「あっ、そうだ。聞いてもらえます?その予定だったんですが、可変式片手半剣トツカノツルギを失くしてしまったみたいで、今ルーネに手伝ってもらって探している最中なんですよ。可変式片手半剣トツカノツルギの見てないですか?」


エマとミスティは顔を見合わせる。


「ふむ。私兵団がアルージェを連れて帰ってきた時にそれっぽいものを持っていた気がするが、私はアルージェにしか意識がいってなかったのであまり覚えてないな・・・。エマは何か覚えているか?」


「うーん、確か私兵団の団長さんが大きな剣を持っていた気がします」

エマは顎に人差し指を当てて、目を上に向けながら話す。


「団長ですか?団長は確か大きな斧が得物だったからもしかしたらそれかもしれないですね!ルーネ!団長さんのとこに行こ!二人ともありがとうございます!」

アルージェがルーネに指示するとルーネは体を翻して、部屋を後にする。


ミスティとエマは扉から顔を覗かせてアルージェが遠くまで行ったことを確認する。


「な、なんとか誤魔化せましたね」

エマは額を拭う動きをする。


「うむ。まさか、アルージェが鍛冶場からこんなに帰ってくるとは思わなかったから本当に驚いた。悪いことは出来んな」

そう言って二人はベッドの方へ視線を移す。


「アルージェも元気になったし、訓練場に行って体でも動かすか」


「私もそうします。ミスティさんせっかくなので一緒に組手でもしますか?」


「む、それはいいな。なら訓練場に行くとするか」

ミスティとエマは部屋を後にする。


アルージェは団長に話を聞くために訓練場に到着する。


ジェスがアルージェを見つけて近づいてくる。

「おっ、アルージェもう傷の具合は良いのか?」


全部言い終わる頃には、ジェスはアルージェの首を手を回して肩を組むようにもたれかかってくる。


「あっ、ジェスさんお疲れ様です!だいぶ休みをもらったので、もういつでも訓練出来る状態ですよ!ただ、剣を失くしちゃったみたいで探してるんですよ」


「剣?あぁ、あのでかい剣か。団長が持ってる見たな。もしかしたら団長の執務室で保管してくれてるかもな」


「本当ですか!それで、その執務室ってのはどこですか?」

アルージェはグイグイとジェスに近づく。


「ちけぇよ!辺境伯様の部屋の隣だよ」


「ありがとうございます!!」

アルージェはササっとルーネに跨り、執務室に向かう。

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