鎧騎士はアインに剣を振り下ろす。
「『
アルージェは咄嗟に盾が浮いている形態『
そして瞬間的に魔力で腕力と脚力を強化して、アルージェがアインと鎧騎士の前に割って入る。
鎧騎士が振り下ろした剣にアルージェが
いつの間にか距離を取っていたいたアインと後方支援のカレンが魔法を行使するために詠唱を始める。
「悪きものを浄火せよ」
「
「燃え盛れ炎熱」
「荒れ狂う
「燃やし尽くせ」
「全てを飲み込め」
アルージェの剣と鎧騎士の剣がぶつかった衝撃でお互いに剣が弾かれて、お互いに大きな隙が生じる。
「アインさん!!カレンさん!!」
アルージェが二人に声を掛ける。
「既に準備出来てるよ!」
「こっちもいけるわ!」
アインとカレンの周りには魔法陣が展開されており、アルージェが離れればいつでも行使することができる状態だった。
アルージェは弾かれた剣に身を預けて、そのまま後ろにわざと飛ばされて離れる。
二人はアルージェの様子を見て、アイコンタクトする。
そして魔法を行使する。
「『
「『
カレンが行使した魔法は水で模られたドラゴンを顕現させる。
水で模ったドラゴンが咆哮すると、ジリジリと鼓膜を震わせる。
アインが行使した魔法は瞬い白炎が現れて鎧騎士を包みこむ。
白炎が放つ熱が少し離れたアルージェの元まで届く。
その後、水で模られたドラゴンが咆哮すると鎧騎士の周りに渦潮が起こる。
鎧騎士を包んでいた白炎と渦潮がぶつかると、アインとカレンが発動した魔法が消失する。
「消えちゃった・・・?」
アルージェは二人が行使していた強そうな魔法が急に消失してしまったので驚き、アインとカレンに視線を向ける。
アインとカレンは全く焦った様子はなかった。
まだ何か有る。
アルージェは直感的に理解した。
「
カレンが呟いた数秒後。
炎と水。
真逆の性質を持つ属性の魔法がぶつかり、消失したかと思われた魔力が爆発を起こす。
アルージェは爆発の衝撃で体を飛ばさそうになりながら、なんとか持ち堪える。
「何がどうなってるのぉぉぉぉ!」
大規模な爆発に巻き込まれた鎧騎士は一溜まりもなかったのだろう。
地面に倒れ込んでピクリとも動かなくなっていた。
アインが額を拭う。
「ふぅ、何とかなったね」
「そうね。今日は大規模魔法を二回も連続で使ったからクタクタよ」
カレンは杖で肩をトントンと叩く。
アルージェはアインとカレンに駆け寄る。
「あの、さっきの現象何なんだったんですか・・・?」
「
「はい!魔法が消えたかと思ったんですけど、数秒後に爆発?が起きて吹き飛ばされるかと思いましたよ」
「あれは私が仮説を立てて実際に検証して見つけた現象よ。詳しいことは省くけど同威力の真逆の属性を持つ魔法がぶつかった時に魔法は消失したように見えるの。炎であれば水、風であれば地、光であれば闇ね。けど実際は消失はしてなくて魔法に使われた魔力同士はぶつかっている。小規模の魔法同士なら大したことにはならないんだけど大規模の魔法だった場合。膨大な魔力同士がぶつかることで無属性の爆発が起きるってこと」
「な、なるほど・・・?何となく理解は出来ました」
「まぁ、君もいつか研究者になったら、よくわからないことを生涯を賭けて調べる事になると思うわ」
「あはは・・・。ま、まぁ、僕の本業は鍛冶屋なので、研究者になるかわからないですけどね!さてと。嫌ですけど、あの鎧騎士動かないみたいですけど、念の為に確認だけしますか?」
「あぁ、そうしようか」
三人は警戒しながら鎧騎士に近づく。
アインが鎧騎士の兜を取ると、中には何も入っていなかった。
カレンが鎧の中を覗き、確認する。
「闇の魔力だけで動いてたってことね。中にアンデット系の魔物が居なくて良かったわ」
「この鎧どうします?」
アルージェはチラチラと鎧に視線を移す。
「んー、そうねぇ。魔法学校に持って帰って、付与について研究してる人に渡す?」
「それなら!僕、欲しいんですけど!」
「まぁ、別に君が貰ってもいいんじゃない?倒したのは私達だし。ね?アイン?」
「そうだね。アルージェが欲しいなら、アルージェが持って帰ってもいいね」
「ありがとうございます!」
アルージェが鎧に近付き、アイテムボックスへ収納しようと手を伸ばす。
「アルージェ!離れろ!」
アインが鎧の様子がおかしいことに気付き、アルージェに駆け寄り突き飛ばす。
アルージェはアインに突き飛ばされて、尻餅を付いてしまう。
「いてて・・・」
アルージェが後ろを振り返ると鎧騎士は何事も無かったかのように起き上がっていた。
鎧騎士の横には闇の魔力で包み込まれ、気を失っているアインの姿が有った。
「うそっ!?なんで?さっきまで魔力なんて全く感じなかったのに!」
鎧騎士から溢れ出る闇の魔力をカレンが見て、驚いていた。