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第七十六話

そして、学園長から指定された七日目になった。


「今日はついに魔法学校だね!」

アルージェは嬉しそうにルーネに話しかける。


「ワウゥ!」

嬉しそうにしているアルージェを見て心なしかルーネも楽しそうにしている。


「ミスティさん達は結局どういう形になるんだろうね」


「んー、私にもそればかりはわからんな、ただ入学できなくても、アルージェの側付き特権を使って一緒の部屋に寝泊まりさせてもらうから安心するといい」


「なんだろう、安心できないな」


「何を今更照れているのだ、少年!もう二か月近くも一緒にいるではないか」


「えぇ、そんなにいますっけ・・・・?」

アルージェは少し考えてから「ほんとですね、いつの間にかミスティさん達といるのが当たり前になってて自分でも驚きです、ミスティさん達と離れるの嫌なんで絶対に入学してくださいね!」


アルージェからの言葉を聞きミスティは目を丸くする。

「おぉ、マ、マイア、き、聞いたか、い、今のはもしかしてアルージェなりのぷ、ぷ、ぷろぽーずというやつではないか!?」


「落ち着いてください、お嬢様、アルージェ様は天然の人たらしですよ、フォルスタにいた受付嬢だって、なぜかアルージェ様に肩入れしてたではありませんか、このままではアルージェ様の思うつぼです」

マイアはミスティの肩を持ち、ゆっくりと諭すように話す。


「た、確かにそうだった、危ない騙されるところだった」

マイアの言葉で目を覚ますミスティ


「いや、騙されるも何ももう僕ミスティさんに生活費ほとんど出してもらってますし、これ以上何をすると思われてるんですか」


「それもそうだ!ならこれはもう実質夫婦なのでは!?」

何か言われる度に声が大きくなるミスティ。


「お嬢様、落ち着いて下さい、早く用意して魔法学校に行かない遅刻しますよ」


「ほ、本当だ、マイア用意を手伝ってくれ」

さっと、隣の部屋に行き支度を始める。


「あの、切り替えの早さ見習うべきところが多いなぁ」

アルージェはうんうんと顎を触りながら、感心する。


「さて、僕も用意しようかな」

いつもと変わらず、歯を磨いて、髪を整えてミスティさんを待つ。


「ルーネは魔法学校に入れてもらえるのかな?」


「ワウ?」

首を傾げてアルージェの様子を伺うルーネ。


「ルーネと離れるのだけは絶対に嫌だな、ダメって言われたら宿に住むこと考えとかないとね」


アルージェの言葉がうれしい一方で恥ずかしいので照れ隠しで「ワウゥ!」と強めに吠える。


「見ましたか?お嬢様これがアルージェの天然人たらしですよ、お気を付けください」


「な、なるほど勉強になる、私も気をつけねばならぬな」

用意が終わったミスティとマイアがすぅっと部屋から出てきて、部屋の端でマイアがミスティに注意していた。


「あっ!ミスティさん達用意終わったんですね!なら早くいきましょう!いくよ、ルーネ!」


アルージェの言葉に元気よく「バウ!」と返事をする。


魔法学校につくと、また石像が近づいてくる。


「こんにちは、お待ちしておりましたよ、どうぞ中へ」と優しそうな声が石像から聞こえてくる。


「ありがとうございます!」


門に入るといきなり学園長の部屋に出た。


「おぉ、みな、よく来てくれた、時間がかかってしまってすまんのぉ、王都観光は楽しめたか?」

学園長はアルージェ達が入ってきたことに気付き、作業と止めこちらに近づいてくる。


「おーい、だれかお茶を持ってきてくれんか」

学園長がそういうと秘密結社らびっといあーがキュピキュピと子供の靴のような音を立ててお茶の用意を始める。


「あっ、みんな三日ぶりだね、元気だった?」

アルージェ秘密結社らびっといあーに声をかけると自分が持ってきたものを机に置いたメンバーアルージェの方に近寄ってきてかわいいポーズを披露してくれる。


「そっかそっか!今日もみんなかわいいねぇ」

秘密結社らびっといあーの言っていることはすべて身振り手振りなので深くまではわからないけど、落ち込んでないということは元気だったんだろうと勝手に解釈する。


「気に入られとるのぉ、さて早速本題に入って申し訳ないのじゃが、アルージェは問題なく入学することができるぞ、部屋は空いている寮の部屋があったからそこを使うとよい、ルーネも一緒に住めるようになるべく広いのを用意した」


「ありがとうございます!」


「うむ、これから大変じゃろうがともに根源に至れるように研究を重ねよう、それでミスティじゃが、さすがに試験なしで入学というのは無理じゃった。

魔法への適性なんかを見て問題なさそうなら入学可能じゃ、なるべく甘めにするようには伝えたが、誰が当たるかで厳しさが変わってしまうかもしれんが、

レインズの娘じゃ、そこは心配しておらん。思う存分にお主の力を見せつけてやればよい」


「入学のチャンスがあるだけありがたいです、助かります」

ミスティは学園長に頭を下げる。


「よいよい、貴族がそう簡単に頭を下げるでないわ、レインズに本当によく似ておるな、いつでもテストを受けれるがいつ始める?」


「今からお願いできますでしょうか?」


「ふむ、可能じゃ、誰か手空いておらぬか?」

学園長が確認すると

秘密結社らびっといあーがみんな手を挙げる。


「おぉ、では申し訳ないがみんなでミスティを訓練場へ連れて行ってもらえるかの、儂はアルージェを担当になる教官のもとへ案内するわい」


秘密結社らびっといあーは学園長の言葉を聞いて敬礼をして、ミスティの案内を始める。


マイアはミスティを案内する秘密結社らびっといあーの後ろについて終始

「あぁ、皆さん本当にかわいいです」と呟いていた。


「さて、儂らもいくとしようかの」

学園長が地面を杖の石突部でトンとたたくと、魔法陣が展開される。

「いくぞ、つかまっておれ」


アルージェは慌てて学園長のローブに掴まり、ルーネもアルージェに掴まる


もう一度学園長が杖の石突部で地面をトンと叩くとアルージェ達の姿が消える。

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