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第七十一話

「それでどうじゃろ、せっかくじゃからこの学園で少し魔法を学んでみんか?本来なら入学金やら授業料やらが必要じゃが、そこらへんは免除にできるぞ、寮も空いているはずじゃからルーネと暮らせる寮を用意しよう」

ルミアスが破格の待遇をアルージェに提案する。


「いいんですか?僕、魔法について全く知らない素人だし、付与魔法にしか興味ないですよ?」

アルージェにとってはありがたい提案だが、魔法のまの字も知らないような自分でもいいのかと不安になる。


「魔法に興味があって学ぶ意思がある、それだけで立派な魔法使いじゃよ、それに儂としてもお主ほどの逸材を手放したくないんじゃ、儂がこれまでに出会った魔法使いの中でも一、二を争うほどの魔力総量なんじゃよお主は」


「一、二を争うほどの魔力を常に放出しっぱなしていた・・・ってことですか、なんか恥ずかしいですね」


「フォッフォッフォ、まぁそういうことじゃな、なら決まりということで良いかの?」


「はい!お願いします!えと、ミスティさんとマイアさんはどうしますか?」


「そうだな、できるなら私も入学させてもらいたいところだが、そんな簡単に入れる学校ではないだろう」


「そうじゃなぁ、レインズの娘じゃから問題ないと思うがな、見たところ面白い魔法武器も持っているようだしな、儂から入学担当者に伝えておこう、試験をするとしても軽いやつで頼むとな」

ルミアスはミスティが腰に帯刀している短剣を見ながら言う。


「そうじゃアルージェ、入学後、自分のやりたい付与魔法を優先するのは構わんがまずは魔力操作を覚えてもらう必要があるぞ、アルージェの魔力に充てられて失神するものが出てきたらこまったもんじゃわい」


「あはは、そうですよね、めちゃくちゃ尖った学生だと思われるのも嫌ですし」

少し恥ずかしくなるアルージェ。


「じゃあ入学の手続きやら、何やらをするからまた一週間後に学園に来てくれい」


「わかりました!ありがとうございます!」

アルージェは頭を下げてお辞儀するとルミアスは微笑み。


秘密結社らびっといあーを呼び出し、出口まで案内をお願いする。


秘密結社らびっといあー全員がピシっと敬礼をして、ティラノサウルスが腕でこちらへどうぞと案内をする。

他のメンバーはみな、後ろからキュピキュピと足音を立ててついてくる。


秘密結社らびっといあーかわいいねー、ルーネも足音キュピキュピ言わしてみる?」

アルージェが提案するとパンダ二匹がルーネを見て両手を顎に持ってきてキラキラと何かを訴える眼差しをする。


その眼差しにルーネは強く否定できず、弱弱しく「バ、バウ」吠えてと脳内には検討するという言葉が流れてくる。


「あはは、冗談だよ、ルーネかっこいいからね、秘密結社らびっといあーのメンバーとは少し違うよ!」


その言葉にうれしくなり「ワフ!」と元気良く吠える。


秘密結社らびっといあーメンバーも皆うんうんと頷き同意する。


「ミスティさんはどうです?」


アルージェがミスティにも同じ話を振ると

「私は可愛いものになるのではなく、愛でたいタイプなんだ!だからアルージェのことも愛でたいんだ」

と反応に困る返答が返ってきたのでとりあえず「あ、ありがとうございます?」と返す。


これ以上ミスティに話を振るとまずいと察したアルージェはマイアに話を持っていこうとマイアに視線を向けると、

目をきらきらさせながら秘密結社らびっといあーを見つめて時折頬が緩んでいた。


「マイアさんもかわいいもの好きなんですか?」

アルージェに突然話しかけられて、「な、なんだよ悪いかよ!」と素の方で返事が返ってくる。


「かわいいは正義なんで!全然悪くないですよ!」


「かわいいは正義・・・」

マイアは呟き黙り込んでしまう。


突然マイアが黙り込んでしまったので、あれ?なんかまずいこと言っちゃったかなぁと心配していたが、

「うん!そうだな!かわいいは正義だな!」と何かを決心したように秘密結社らびっといあー達を見つめて、

ミスティに何かをお願いして、許可が出たようのか、秘密結社らびっといあー達に駈け寄る。


「な、なぁ、みんな」

マイアの言葉に秘密結社らびっといあー全員が振り向きマイアの顔を見る。


「よかったらでいいんだけどさ、仕事の合間とかに会いにいってもいいかな」

いつもは完璧なメイドのマイアだが今は不安そうにもじもじとしている。


秘密結社らびっといあー達はアイコンタクトした後、ぴょこぴょこと飛び跳ねたり、床をゴロゴロと回ったり、両手を万歳していたり、うさぎの耳をアニアニと噛んだりと各々が各々のやり方で喜びを表現していた。

秘密結社らびっといあーも話し相手ができて嬉しいみたいだ。


「いいのか!?いいんだな!?なら今度絶対遊びに行くからな!」

マイアは上機嫌でミスティの元に戻っていく。


「よかったな、マイア」

ミスティが話しかけると、マイアはいつものように平然と「はい」と返事をするが頬を少し赤らむ。

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