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第六十七話

勢いよく探索始めたのはいいが、

広すぎて地図がないとどこが大通りなのかもわからなくないかとなって

結局店に入ることはなくブラブラと動き回るだけでになった。


ただそれでもかなり楽しかった、店主が必死に声掛けして客寄せしてるところとか

活気があっていいなと思える。


僕は子供だから相手にはされなかった。

悲しい。


ルーネはルーネでいつの間にかシュークリーム屋さんを見つけて僕の袖を引っ張って

シュークリームいっぱい買わされた。


まぁ、野営の時、夜番はルーネのおかげでやらなくてよかったし、

ご褒美だと思っていっぱい買いましたよ。


それとフィーネさんとリリィさんに手紙を出すために便箋を買った。

思っていたより値段が高かった。


はぁ、お金稼がないとな。


それと気になったことといえば、街のいたるところで、何で動いているかわからない

物があった。


街灯もガス灯みたいな見た目はしてるけど、ガスは使われてないだろうし、

どういう原理で動いているのだろうか。


一番驚いたのは、バイクみたいな乗り物を見たこと。

ガソリンなんてないよね・・・?


街をうろうろと回って少し暗くなってきたのでそろそろミスティさん達を探さないとなんだけど、

あれ?宿の場所わからなくない?


「ルーネ・・・?」

アルージェが不安になりルーネに声をかけると、

ルーネはやれやれと首を左右に振り、僕を乗せると移動を始める。


「もしかしてわかるの!?さすがルーネ!頼りになるぅ!」

とルーネを持ち上げると、ルーネは満更でもなさそうに「フンスッ」と鼻息を漏らす。


数分でミスティさんの馬車が停まっている、宿屋を発見するが

「なんだろう、明らかに僕、場違いな気がするんだけど」

外側だけでもわかる程に宿屋の中でもかなりランクの高そうな宿屋だ。


扉の前にドアマンがいる宿屋なんて高級以外なんでもないでしょう。

「こんにちは」と近づくと「お待ちしておりましたアルージェ様どうぞ中へ」と扉を開かれる。


「おじゃましまぁす」と恐る恐る入ると、受付の横に待合室のようなスペースがあり、

ミスティさんが紅茶を飲んでマイアさんが傍で待機していた。


「ミスティさん!」と駆け寄る。


「ん?あぁ少年か、おかえり、王都はどうだった?何か楽しいものはあったかい?」

カップを手に持っていたソーサーの上に置き、ソーサーをテーブルに置く。



「いやぁ、地図もないのにいくのは無謀でしたねぇ、何とか便箋は買えましたけど」


「そうかそうか、用が済んだらまた行けばいいさ」


「あと、そうだルーネにいっぱい買ったついでなんですけど良かったらシュークリームどうぞ」


お土産用に分けていた子袋を差し出す。


「側付きの私にもこの配慮、気が利くではないか少年、ありがたくもらおう」


「側付きって設定でしたね、そういえば、あっ、これマイアさんにもシュークリームのお土産です」


「ありがとうございます、後でゆっくりと頂きますね」

声が弾む、どうやらマイアさんも甘いもの好きみたいだ。


ルーネと似たもの同士なのになんで小競り合いしてるんだろ。


「いや、そうじゃなかったミスティさんが取った宿ってここなんですか!?」


「あぁ、そうだが?あと部屋は皆で泊まれるように広めの部屋を取っておいたぞ」


「あっ、ありがとうございますぅ!ってそうじゃないんですよ、僕の場違い感すごくないですか?あと部屋一緒なんですか!?」


「何を今さら野営の時同じテントで寝てたではないか、それともテントとベッドだと何か違いがあるのか?」


「いや、なんていうか気持ちの問題なんですけど、テントは限られた資源の中でやりくりするしかないので・・・」


「宿を取るのだって限られた資金の中でやり繰りが必要だ、わかるだろう?そんなに気になるなら私が床かソファで寝ればいいか、もしも同じ部屋が嫌なら馬用の納屋でも私は構わないが側付きだしな」


ミスティは立ち上がり、納屋に向かおうとするが、アルージェが手を引っ張り必死に止める。


「ちょっと待ってください、それはよくないです、どこに辺境伯様の娘さんを納屋に泊まらせて自分は部屋でぬくぬくする平民がいますか」


「なら同じ部屋で構わないな?」


「はい、むしろ同じ部屋でお願いします」


「さすがアルージェよく言ってくれた、さぁでは部屋に向かうとしよう」

ミスティは納屋へ向かっていた体の向きを部屋のほうへ転換し、

上機嫌で部屋に向かう。


「結局、こうなるなら今度からはおとなしく言うことを聞くようにしよう、いやでもイエスマンは良くないし抵抗する気持ちだけは大事にしないとだからやっぱりちゃんと意見は言うようにしよう」

ため息をついて、ルーネについて行こうと指示を出す。

ルーネはアルージェの肩に前足を置き、ポンポンと叩く。


「あぁ、ありがとうルーネ、慰めてくれるんだね、てかさ、嫁入り前の女性が男性と同じ部屋って貴族様なのに大丈夫なの変じゃない!?」

とりあえずルーネに愚痴を言うが、先に階段を上っていたミスティから

「少年、何をモタモタしている、さっさと部屋に行くぞ」と声がかかる。


「はい、ただいまぁ!」愚痴を切り上げミスティの後ろについていく。


とりあえず、部屋には既にミスティさんとマイアさんの荷物が置いてあった。


「僕はどのあたり使えばいいですか?」


「少年とルーネは好きなところを使うといい、そういえば少年お腹はすいているか?頼めばすぐに部屋まで持ってきてもらえると思うが」


「あぁ、いいですね、歩き回って疲れたので今日はここでご飯食べようかな」


「わかった、すぐに持ってくるように伝える、先に風呂でも入るといい、あっちだ」

ミスティは風呂場を指差す。


「お風呂あるんですか!すぐ行きます!ほらルーネもお風呂行こ!せっかくの綺麗な毛並みなんだから!」

ルーネはお風呂と聞いていやな顔をするが、アルージェに引っ張られて無理やり連れていかれる。


ミスティとマイアが荷物を整理していると「すげぇ!」とアルージェの声が聞こえた後

「ワウワウワウ」とルーネが嫌がる声が聞こえた。

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