魔獣と話す男は農村で生まれ育った何の変哲もない男が村の近くにある森で迷ってしまい、
夜を過ごそうと入った洞窟でたまたま七色に光る書物を見つけて暇つぶしに読んでみたら、魔獣と話をすることができるようになっていた。
魔獣達と対話をして道を聞いて何とか村に戻った。
それからは村に攻めてきた魔獣対話して和解、人と魔獣が共存をする村にできないかと魔獣と人との架け橋となり男の努力のおかげで魔獣と人で助け合いができる村になり、税金などの支払いもかなりなったけれど、
近くの村の村長がそれを妬み、魔獣に操られている村があると国に告げ口をして国から騎士団が派遣される。
村で平和に過ごしていた魔獣と村人を騎士団は皆殺しにした。
魔獣と話せる男だけ魔獣達が何とか逃がしたけれど、ただ平和に暮らしてたものを一方的に殺すなんてと怒り狂い魔獣達を引き連れて戦争を起こす。
それからは魔王と呼ばれるほどに数多の人々を魔獣と殺すが、勇者が現れて男を殺して、国は救われた。
「それは・・・ひどい話ですね」
「あぁ、人間の醜さがしっかり出ている話だろ、私はあまり好きでは無い」
「僕も好きになれそうにないです、もう一つの話もそんな話なんですか?それだとあまり聞きたくないのですが・・・」
「いや、スラム生まれのポーちゃんはそんな話ではないな」
「よかった!ついでなのでどんな話か聞かせてくださいよ!」
「アルージェも童話の良さがわかるか!アルージェはまだまだ子供だもんな!うんうん」
ミスティはそういって少し嬉しそうに話し始める。
ポーちゃんの家はとても貧乏で、物心がついた時には近くにある浜辺に流れ着いてきたお金になりそうなものを売って生活をしていました。
そんなある日、七色に光る書物が流れ着いてきており、光るものだからきっと高く売れるととポーちゃんが手に取り中の状態を確認すると、
読めないはずの文字が読めて意味を理解することができました。
その本を読んだ時からポーちゃんがいつも大事に持っていたポシェットはどれだけ物を入れても重くならず、無限に物を入れることができるようになった。
それに気づいたポーちゃんはまず手始めにスラムに廃棄された廃品すべてを回収して、スラムの人達が暮らせる為の土地を作りスラムの人達に感謝されます。
次にスラムに住むみんなのためにスラムから少し離れた場所にある森に入り、湖からきれいな水を森にある食べ物をポシェットに大量に詰め込み。
スラムの人達に分け与えました。
その後、何度も何度も食料や水を分け与えたおかげでスラムの人達に活気が戻ります。
ですが、それもそう長くは続きませんでした。
海でレヴィアタンと呼ばれる巨大な魔獣が暴れているせいで、
空にも届きそうなほど高い大波が近づいてきており、スラムだけでなくこの辺り一帯の地域を飲み込んでしまうという話を聞き、スラムや町から人がどんどん離れてしまいます。
ポーちゃんはどうにかならないかと浜辺に出て考えますが、何も思いつきません。
何もできないまま時間が経ち、いつの間にか浜辺から海水が引いていることに気づきます。
何が起きているのかわからず海を見ると見たこともない高さの大波がすごい速さでこちらに近づいてきているのが見えました。
どうすることもできないと思いその場で立ち尽くし、大波に飲まれそうになったその時
ポーちゃんはポシェットを開き、大波をすべて収納してしまいました。
それを見ていた王様が「この子こそ神使だ!救世主だ!」と
ポーちゃんを称賛し、国を未曾有の危機から救った救世主として報奨金をもらい。
ポーちゃんの一家は幸せに暮らしました。
「地域一帯を巻き込むほどの津波なんて本当にあったんでしょうか」
「うーん、どうだろうな、大波が起きていたが、気づいたらなくなっていたという内容がかなり古い文献複数に記載されていたのだが、どうも時代や時期が合わなかったりと曖昧なことが多くて実際にはそんなことなかったというのが今の通説だな」
「まぁそりゃそうですよね、そもそもそれほどに大きな波だったら自然に無くなるわけないですもんね」
「だからこそ童話なんだ、まぁそんなことはいい、魔獣と話す男は余計なことをすると身を滅ぼす、ポーちゃんは人にいいことをするとその分自分に返ってくるという話だとして広がっているが今紹介した二つの話には共通点があって」
「共通点?」
「あぁ、どちらも七色に光る書物を読むことですごいことができるようになるという話なんだ」
「確かにそうですね、でもその七色に光る書物を読んだからっていきなり鞄がマジックバックになるのは変ですけどね」
「そうだな、ありえないことなんだが、私はこの二つの話の七色の書物に疑問を持って少し調べたんだ、そしたらどちらも全く違う地域で生まれた童話なんだ」
「まったく別の地域で生まれた話なのに七色に光る書物が出てくるってことですか?」
「あぁ、そうだ、それともう一つ気になることがあってこれは証明することはできないんだが、私が小さい時悪魔憑きと呼ばれていたと話したの覚えているか?」
「覚えてますよ」
「私は物心ついた時から頭に声が聞こえていたんだ、それと話していたせいもあって悪魔憑きといわれていた」
「声??」
「あぁ、その声の主はこの世界ではない別の世界に居て、色の書と呼ばれる書物を集めることでその世界に行くことができるといわれた」
「その声の主と会うためにミスティさんはこの本を探していたんですか?」
「そうだ、私を必要としてくれる人がいるなら今の生活などいらないと思っていたからな」
「なるほど、なら余計にこの本はミスティさんが」
ミスティは僕の言葉を遮るように「もう必要ないんだ、私には君がいる、それに私を心配してくれる人が近くにいると分かったからな」
ミスティさんの言葉を理解して、アルージェは少し頬を染める
「おや、照れているのか少年、かわいいな!」
ミスティはアルージェの頭をガシガシと撫でる。
「や、やめてくださいよ、もう!」
アルージェは顔を背ける。
「ははは、悪かったよ少年、まぁだから私にはその本はもう必要ないんだ、アルージェに負けて声も聞こえなくなってしまったしな」
「声聞こえなくなっちゃんですね、寂しくないですか?」
「あぁ、父もマイアもアルージェもいつも私を見てくれていると分かったからな」
「辺境伯様ととマイアさんはともかく僕はそんなずっと気にしてないですよ、この世界でやりたいこといっぱいあるんで」
「あぁ、アルージェは今のままでいいぞ、君についていけば楽しそうだと思ったからついてきてるだけだからな、思うがままに生きてくれ、私は束縛しないタイプなんだよ」
「確かに触手使ってるのに拘束はされなかった気がします」
「だろ?まぁ実際は少年が全部切り刻むからできなくなったってのが正しいかもしれんがな!」
「ミスティ様、アルージェ様、お食事の用意ができました」
「おっ、マイアありがとう、それじゃ食事にするか」
「はい!いただきます!」
マイアさんが作る食事は絶品だった。