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第五十三話

「まさかこんなに早く着くとは思わなかったよ、行きよりも早いじゃん、ルーネすごいね」

もう一度野営をする予定だったが、夕方にはフォルスタの門の前についていた。


「夜になったら門が閉まって野営しないといけなくなっちゃうから急ごう!」

「ワフッ」


フォルスタへ入るための列に並び、何事もなくフォルスタへ戻ってこれた。


「んー、宿はお金払って部屋とかそのままにしてもらってるから、先にギルドに行こうか」

そういってギルドに向かい歩き出す。


「初めての遠出だったけど、何事もなくてよかった、武器はミスティさんとの戦いでほとんど消耗しちゃったから修理したり新しく作ったりしないと無いけどね、素材買ったりしないと行けないからもしかしたら今回の旅あんまり利益ないかもなぁ、フォルスタの鉄鉱石の相場どんなもんなんだろ、はぁ」


ルーネも「クゥーン」と悲しそうな声を出す。


「でもさ、新しい発見もあった、ミスティさんが持っていた短剣、僕の知らない素材で出来てた、しかも触手を操ってたんだよ?どうやって作ったのか検討もつかないや、この世界には僕の知らない技術がまだまだ有るんだなって思ったんだよね、ずっと村にいたら、こんなワクワク知らなかったんだよ、僕さ村を出て本当に良かったよ」

アルージェはルーネの前に立ちはだかる。

ルーネはキョトンと首を傾げる。

「ルーネはさ、群れから出てきて後悔は無い?僕と一緒に来て良かったって思ってる?もし、群れに戻りたいと思うなら」

アルージェが言葉を言い切る前にルーネがアルージェを押し倒す。


「ウワッ」

アルージェはそのまま尻餅をつく。


「バウッ」

ルーネから感謝の気持ちが伝わってくる。


「主従契約してるからかな?ルーネ気持ちすごくわかるよ」

アルージェがそういうとルーネは尻尾を振り、おすわりをする。


「これからもよろしくね!相棒!」

ルーネも感極まり遠吠えをする。


ルーネの遠吠えを聞いて魔物が入ってきたのかと衛兵が駆けつけきた、アルージェは必死に頭を下げて誤解を解きギルドに到着した。


ギルドではヴァプンコヌングル遺跡付近で大きな地震があったことが、

既に周知されており、立ち入り禁止になっているようだ。

一部、神が降臨したとも噂されているらしい。


「まぁ、いきなり地震が来たらそりゃ立ち入り禁止になるよなぁ、そういえばこの大陸は地震とか結構くるのかな、転生してから地震って来てない気がする」


「バウ?」

独り言を言ってるとルーネが首を傾げてこちらに視線を向ける。


「あぁ、何でもないよ独り言、ほらささっと報告しちゃおう!」

そういってギルドの受付の順番待ちをする。

おぉ、奥の方にフィーネさんが居るな、相変わらず忙しそうである。


なかなか進まないなぁなんて考えながらボーッと受付待ちをしていると、

フィーネさんと目が合った。


こちらに気付いた途端、書類をもったままアルージェの元に早歩きで向かっていく。

「アルージェ君!依頼に向かってすぐに遺跡で地震が起きたって聞いて、お姉さんほんとに心配で心配で」

フィーネさんは目に少し涙を溜める。


「僕とルーネが依頼の物を渡した後、近くの村で休んでる時に起きたので、びっくりはしましたけど、影響は無かったです!心配してくれてありがとうございます!」


「ううん、本当に無事に帰ってきてくれて良かった、なら早速報告ね、ギルドマスター呼んでくるから、あそこで待っててもらえるかな?」


「わかりました!」

フィーネさんはそのまま、ギルドマスターにアルージェが帰ってきたことを報告しに行く、10分ほどルーネと戯れ合っているとフィーネさんが戻ってきた。


ギルドマスターの仕事がひと段落したので、ギルドマスターの部屋にきて欲しいと言われたので部屋に向かう。


ギルドマスターの部屋の前に到着しフィーネさんがノックをすると中から「入れ」とギルドマスターの声が聞こえる。


「失礼します、アルージェ君をお連れしました」


「おう、助かる、とりあえずアルージェはそこに座ってくれ」


「はい、失礼します」


「大変だったな、依頼で向かった場所で地震が起こるなんて」


「そうですね、地震が起きた時、僕とルーネはミスティさんに荷物を渡し終わって村でご飯をご馳走になっていて、久々の地震だったので驚いただけって感じですね、ミスティさん達は遺跡にまだ居ましたが、僕とルーネで救出に行ってほぼ怪我もなかったので、村の人たちに任せて戻ってきました」


「わざわざ救助に行ったのか、それは辺境伯から報奨金が出るかもな」


「まぁ、その辺りは期待してないです、ただお節介焼いただけなので」

そういいアルージェがルーネの方を見るとお座りをしているが眠そうに欠伸をしている。


その視線に気づきギルドマスターもルーネを見て

「帰ってきたばかりで疲れも溜まっているだろう、当分はゆっくり休むといい、達成金は受付で受け取ってくれ」


そういいギルドマスターは席を立ち自身の机に戻っていく。


「さぁ、アルージェ君こっちに、ルーネちゃんも着いてきてね」

フィーネさんに手を引かれて、部屋を出る。


部屋を出てもなかなか手を離してもらえず、そのまま個室へ案内される。


「あれ?受付じゃ無いんですか?」


「私の独断で受付じゃなくて個室で対応します、じゃあ今回の依頼の成果物見せて、ミスティさんのサインが入った紙もらえるかな?」


フィーネさんの言葉に従い、ミスティさんのサインの入った紙をアイテムボックスから取り出しフィーネさんに渡す。


フィーネさんはルーペのような魔道具を取り出し、サインを確認して「はい、確かに」と

ルーペをポケットになおす。


「ではこれが今回の依頼金、金貨5枚です」

木でできたトレイに入れアルージェに渡す。


「これが金貨!すごい綺麗だ!ルーネホラ見て!」

始めたみた高価な硬貨にテンションが上がりルーネの手を持って、

ダンスを始める。


ルーネもアルージェに合わせて、「ワウッワウッ」と声を出す。


アルージェがハッとフィーネを見るとその様子をニコニコと見守っている。


「なんか嬉しくて、はしゃいじゃいました、すいません」と頭を掻きながらフィーネに謝ると「アルージェ君は大人なフリしてるけどまだまだ子供な一面もあるのね」とニコニコである。


「お恥ずかしい」と少し頬が熱くなるのを感じて、「で、では今日は疲れたので、もう宿屋に戻ります!」

そう言って慌てて部屋を出る。


「はい、本当にお疲れ様でした」とフィーネはそれを見送る。




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