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第五十二話

アルージェが目を覚ます。

あたりを見渡す、ルーネが丸まって寝ているのが見える。



「相変わらず猫みたいな寝方だね」

そう言って起きあがろうと体を起こす


「痛っ」


全身筋肉痛になっているようで、ちょっと動かすだけでも痛みがある。

だけど、まぁ動けないわけじゃないので、痛い体に鞭打って体を起こす。

そしてアイテムボックスから、ミスティさんが持っていた短剣を取り出す。


「やっぱり昨日の戦闘は夢じゃ無かったんだ、まぁこんだけ筋肉痛になってるから、わかってたけど」


そして短剣を観察する。


素材は・・・検討もつかないな、師匠のとこにいる時、珍しい金属なんかも見せてもらったけどどれでもない、それにあの触手は?マナを使って召喚してたのかな、それともマナってやつで形をつくって実体化させた?そんなことが出来るのかはわからないけど。


「ファンタジーすぎるよぉ」

そう言って鞭打った起こした体をベッドに預ける。


あぁダメじゃん、起き上がるだけでも痛いの忘れてた。

とりあえず、村長さんたちに顔を見せよう。


立ち上がるために脚を動かすが、これもめちゃ痛い。ぐぬぬ。

とりあえずルーネに声をかけるか。


ルーネのそばにいくとルーネは目だけ開いてアルージェを見る。


「おはようルーネ今朝は調子どう?」

アルージェが確認すると、ダルそうに体を起こす。


「あはは、ルーネも頑張ったから、筋肉痛?」

と聞くと、脳内にマナ不足と端的に答えをくれる。


「マナ不足?僕のマナをあげたいけど、どうやってあげたらいいかわからないし、困ったな」

と言うと言質は取ったとルーネはアルージェとのパスを利用し、マナを吸収し始める。


「えっ、何?ルーネ僕に何かしてる?なんか吸い取られる感覚あるんだけど、ちょっと!?ルーネ!?」


それからしばらくしてぐったりしたアルージェとイキイキしたルーネが村長達の前に顔をだした。


「お、おはようございます」

アルージェが村長さん夫妻に挨拶する。


「おぉ、アルージェ君、起きてきたのかい1日半も寝てるとはワシらも驚いたわ、最初は死んだんじゃないかとドギマギしたぞ、なぁ婆さん」


「ホントですよ、寝る子はよく育つって言いますからアルージェ君は大きくなりますねぇ」


「い、いやぁ、お恥ずかしい」

ハハハと頭の後ろを掻く。


「そ、それでミスティさんとメイドさんはどんな感じですか?」


「あぁ、辺境伯の娘様も側付きの方もまだ眠っとるよ、遺跡に篭っておったんじゃ、まぁ疲労が溜まっとったんじゃな」


「ささ、それよりお腹空いたでしょ!いっぱい用意してますよ」

村長の奥さんはアルージェ達がお腹をすかしているだろうと思って、

ご飯をたくさん用意してくれていたようだ。


「やった!ルーネご飯だって!」

そう言って食卓へ向かう。

ルーネもやれやれと首を振り食卓へ向かう。


「あぁ、もう食べられないよぉ」

アルージェがそう言うとルーネも満足げにバフッと声を出す。


「それでアルージェ君これからどうするんじゃ?」


「そうですねぇ、もうお昼ですけど、今からフォルスタへ戻ろうと思います」


「大丈夫か?まぁフォルスタからこちらに向かう時も一人旅だったから大丈夫じゃとは思うが」

村長さんは子供1人で本当に大丈夫か不安なようだ。


「大丈夫ですよ!ルーネも一緒ですし!それに僕も剣の心得がありますので!」


「そうですか、そうですか、何か必要なものはありませんか?可能な限り用意しますよ」

村長の奥さんはそれでも少し心配なようですごく優しくしてくれる。


アルージェは少し考えて、

「お願いが一つだけあります!この短剣ミスティさんのものなんですが、目を覚ましたら返しといてもらえないですか?」

そう言ってミスティさんが使用していた短剣を渡す。


「はい、確かに預かりました、辺境伯の娘様の目が覚めたら確実に渡しておきますね」

そう言って、短剣をエプロンのポケットに片づけた。


「では、ギルドに依頼達成の報告があるので、僕たちこれで!」

そういい村長の家を出てルーネに跨る。


村長さん夫妻が表まで出て見送りをしてくれた。

「では、お世話になりました!」

と手を上げると、村長さんは「達者でな」と声を掛けてくれて、

村長さんの奥さんが軽く手を振ってくれた。


そのまま村から出たところでヤーロが立っているのが見えたので、

ルーネにいきなり前に立って驚かして帰ろうよと提案する。


その後ヤーロの悲鳴が村中に響いたのは言うまでもない。



村を夕方頃出て、夜は森で野営をした。

久々にテントを張って、火を焚いてスープを作ったけどたまに食べると美味しいよね。


「はぁ、スープ食べて実感するけど宿のご飯って本当に美味しいんだね、ベッドが恋しいよ」


その言葉を聞き、火の近くで丸まっているルーネが立ち上がりアルージェがもたれかかれるように体勢を整えて、前足でポンポンと自分に体を預けて寝るように促してくる。


「はいはい、宿のベッドよりルーネと一緒の方が眠れるから安心してよ」

その言葉を聞いてルーネは頭を下ろしてまた眠りにつく

「なんで、宿のベッドと張り合ってるのさ、さて僕も眠くなってきたし寝ちゃうかな」


パーティで野営をする時はだれかが夜番をする必要があるらしいが、

僕達は何かあればルーネが目を覚まして起こしてくれるので夜番を必要がない


「おやすみ、また明日もよろしくね」


--------------------Weapons&Magic第二部「未知との遭遇」完--------------------

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