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第四十九話

顕現セヨ一緒に居て貴方ノ世界二在ル槍アイネ・ザンフト・ヴェルト・シュペーア

ミスティが唱えて短剣を前にかざし鍵のように回すと、地面が黒く染まり、黒く吸盤付近は緑色のタコ足のような触手が黒くなった場所から生えてくる。

一部の触手はミスティを覆い始める。


アルージェは剣で切り付けようとすると無数の触手に体を吹き飛ばされて距離を取られる。

「くそぅ、遅かったか、触手を呼ぶ武器ってなんだよ反則じゃん」


剣を構えてミスティの様子を確認する。

ミスティを覆っていた触手は全て無くなっていた、見た目は何も変わっていない、

だが、着ている服から禍々しいオーラを放っている。


ミスティも用意ができたらしく短剣を構えアルージェと対峙する。


「心優しい君を殺すことがこの世界での最後の罪になることを信じて」

そう言うと先ほどより早い速度でアルージェに近づいてきて、少し距離がある場所で止まり、短剣を上から叩きつける動作をする。


何をするつもりかわからないが、何かされる前にとアルージェはミスティに接敵すると短剣から伸びた極太のタコ足が鞭と同じ要領でアルージェに襲いかかる。

不意を突かれたアルージェはそのタコ足に地面に叩きつけられて、触手に掴まれ壁に向かって投げられ壁にも叩きつけられる。

ガハッと肺から息が吐き出され、そのまま壁を伝い地面に落ちる。


ミスティは地面に落ちたことを確認し、「来世があるのなら君とは別の形で出会いたい」

光の柱へ向きをアルージェに背を向けるが気配を感じ振り向くとアルージェがなんとか立っていた。


「ほぅ」と目を細めると先ほどと同じように短剣を上から下へ振り抜く動作をすると触手が表れ、アルージェを襲う。


「同じ手は効かない」

地面に落としてしまっていた剣を拾い触手を剣で強引に弾き返す。

だが、重量が違いすぎるためか、アルージェの持っていた剣は衝撃で折れてしまう。


「かっこいいな、少年、だがもう頼みの剣がないぞ!!」

ミスティはもう一度短剣を振るう。


先ほどとは違い極太のタコ足ではなく、アルージェの近くに黒い影が現れ、一斉に触手がアルージェに襲いかかる。

アルージェはアイテムボックスに手を入れるが、全ての触手がアルージェのいた場所に叩きつけられる。


「君のことは」

ミスティが言葉を最後まで紡ぐ前にアルージェのいた場所から金属音が鳴り、触手が全て切り裂かれる。


「見た目の通り、柔らかくて簡単に切れたよ」

ショーテルを手に持ったアルージェが現れ、ミスティへ接敵する、

「何故だ、ただの少年に何故」

ミスティはアルージェを近寄らせまいと、短剣を振り抜き、黒い影を出し数多の触手にアルージェを襲わせる。


アルージェは触手の軌道を予測し、かわし、かわせないものはショーテルで切り裂くが、ミスティに近づくことはできない。

「このままだとジリ貧だ、何かないか、これはどうだ」

ショーテルをアイテムボックスに入れて、スラ弓を取り出しミスティ目掛けて何本も矢を放つ触手の隙間を潜り抜けて、

ミスティの服に矢が刺さる。


「これならいける」

そう思った直後、矢は服からポロリと落ち、開いた穴を触手が塞ぐ。


「やっぱ、無理か、これならどうだ」

スラ弓をアイテムボックスへなおし、ジャベリンを取り出しミスティに向かって投擲するが、ジャベリンは触手に叩き落とされる。


「ジャベリンは矢ほど細くないから触手が反応するのか、ならこれならどうだ」

アイテムボックスからショーテルとハンドアックスを取り出し、ミスティに向い駆け走る。


四方八方からアルージェに触手が邪魔をしてくるが、ショーテルとハンドアックスで触手を切り裂き、足を止めない。

そして、ここからならと言う場所まで近づき、ハンドアックスをミスティに向かって投擲する。


ハンドアックスを投げられると思っていなかったミスティも触手も反応が出来ず、

投擲された斧はミスティの脇腹に深く刺さり、血が滴る。


「ここまで少年に翻弄されるとは思ってなかった」

脇腹に刺さるハンドアックスを抜き取る。

痛みでグッと声が漏れる。

ハンドアックスを抜き取ると服が意志を持つように穴を防ぐ。


その隙にアルージェがこちらに走ってきているのが見えるミスティは、短剣を構えて、左から右に振り抜く。

極太のタコ足が左から右へと振るわれるが

アルージェは両手にショーテルを構えて切り裂き、さらにミスティへ接近する。


極太の触手を切り裂かれるとは予想できていなかったミスティは動揺し、アルージェの接近を許してしまう。


「これで」

ショーテルを持っている腕を交差させ、「終わりだぁ!」ミスティの服を切り裂こうとした途端、

「もう纏う必要はない」ミスティの服から初めに纏ったであろう、触手が全て放たれる。


不意に放たれた触手に対応できず、片手のショーテルを弾かれるが、もう片手のショーテルでなんとかその場に居座ろうとするが、

今までで一番の物量がある触手に片手だけでは対応できず触手を打撃に飲み込まれ入り口まで吹き飛ばされてしまう。

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