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第四十六話

遺跡が一望出来る高台に到着すると、荷物を渡した後、ミスティさん達が向かった奥のピラミッドの頂上から光の柱が出ていることが確認できた。


「ルーネ、あそこだ!」

ルーネも頷き、道を進む。


「見えた!あそこだ」

目の前にピラミッドが見えたところでルーネが後ろに跳ぶ。

数秒後、先ほどまでルーネがいた場所に石柱が飛んでくる。


「石柱?」

アルージェは意味がわからなかったので確認すると、さらにルーネ目掛けて石柱が飛来する。


ルーネは容易く回避し、石柱が飛んでくる場所を目掛けて駆け抜ける。


そこには無数の石柱が立っていて、先ほどミスティさんと話した時に前に出てきたメイドさんがいた。


「こんばんは、アルージェさんいかがなさいましたか?」


「ミスティさんが危ないと思ってここまできました」


「そうですか、なら心配は不要です、他に用が無いようでしたら、お帰りください」

メイドが目でアルージェとルーネを威嚇する。


「あの光の柱はなんですか?」

「あなたが知る必要はありません」


「近くの村の人たちが怖がっています、あれを止めてください」


「それは出来かねます」


「なら、僕が止めてきます」

そういいアルージェが前に進もうとすると、バキッと大きな音が聞こえて、石柱が飛んでくる。


「これは警告です、次は当てます、誰であろうとここを通すなと指示を受けております」


「地震のせいで、村の畑は崩れてました、それに崩れている家もあった、村の人達の生活がかかっているんですよ」

アルージェは叫ぶがメイドは「そうですか、私には関係ありませんので」と切り捨てる。


「それはミスティさんも同じ意見なのか」


「はい、その通りです」


「そうですか、なら押し通らせてもらいます」

そう言ってアルージェは腰に携えていた剣を抜き構えると、ルーネがアルージェの前に出る。

そして、アルージェを見て顔をチョイチョイと動かし、先に行けと合図する。


「任せていいの?」

ルーネに尋ねると遠吠えをする。


「わかった」

そういってアイテムボックスからアルージェが持っている中で一番大きな鎖鎌を取り出す。


「ルーネの戦い方ならこれが一番使いやすいと思うから置いておくね」

そういうとアルージェがピラミッドの方へ走り出す。


「進ませると思いますか」

メイド服は石柱を折り、アルージェの方へ投げつける。


ルーネは鎖鎌を口に咥え、駆け出し石柱を切断する。

メイドは驚いたがこれ以上は進ませまいと近くの石柱を折り、何度も投げつけるがルーネは鎖を使い石柱を全て砕く。

そして、アルージェの姿が見えなくなる。


「獣如きがよくも私の邪魔をしてくれたなぁ!」

メイドは口調を変え、背中に背負っていた普通の人間は持つことができないであろう大きさの金砕棒を手に持つ。


「糞犬てめぇだけはぜってぇ殺す」


そして、ルーネの方へメイドが駆け出し、上から金砕棒をルーネ目掛けて叩きつける。

ルーネは紙一重でかわす。


初撃はかわされたが、メイドは何度もルーネに棍棒を上から下から横からと縦横無尽に攻撃を繰り出す。

だが、全てルーネにはかわされ、鎖を使った反撃をくらい始める。


「調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

先ほど同じように金砕棒を上から下に叩きつける。


ルーネは先ほどと同じようにかわすがメイドはニィと口元を緩めた。

ルーネがかわした金砕棒のによる攻撃を地面に叩きつけた瞬間、地面がクレーター状に凹んだ。


ルーネは突然足場が凹み地面から足が離れて宙に体が浮く。

メイドは金砕棒を力で無理やり制御し、

横から金砕棒をルーネに直撃させるとルーネは石柱を何個も折りながら吹き飛ばされてしまう。


メイドはルーネに追撃を行うため吹き飛ばされた方向に全力でかけ始めると、壁にぶつかり止まったルーネの前にすぐに現れて金砕棒を振り下ろすが、

ルーネは鎖を使い、メイドが振り下ろす金砕棒動きを邪魔して直撃を免れる。


金砕棒から少し距離を取ると、体に黄色の光を纏い始める。

瞬間、ルーネの負っていた傷が綺麗さっぱりなくなる。


その様子をみて、メイドが顔を歪めて

「魔獣の分際魔法まで使うかぁぁぁ!」と金砕棒を横からルーネに振るうがルーネが避けると壁にもクレーターが生じる。


激しい攻撃をルーネに対して行うがルーネは鎖を使い弾き返す。

金砕棒を弾き返されるがメイドは腕の力で弾かれた金砕棒を無理やり制御し、軌道を変えルーネに叩きつけたりするが、ルーネはかわす。


その後も何度もメイドは「魔獣風情が!」「魔獣風情が!」と、

金砕棒をルーネに叩きつけようとするが、ルーネは全て紙一重でかわす、かわした金砕棒がぶつかった場所には、衝撃波を引き起こしクレーターができる。

ルーネはクレーターが出来ることも計算し、全てをいなして鎖で反撃を入れるとメイドは余計に苛立ち、がむしゃらに金砕棒を振り誇りや瓦礫が巻き上がり砂煙が生じる。


「ちっ、どこに行きやがった」

砂煙の中に気配がないかを確認するが、見つけることができない。


メイドは砂煙の中に光を放つ箇所を見つける。

「魔法で攻撃することはわかってんだよ!!!」

そういい持っていた金砕棒を光の方向へ投げつけるが体に当たった際に聞こえる鈍い音ではなく石に金属が当たる音だった。


「あっ?」

予測していた音と違っていてため、メイドは少し考えるが、ルーネに一杯食わされたことに気づく。


しまったと後ろを振り向いた瞬間、魔力を体に纏ったルーネがそこにはいた。

とりあえず防御姿勢を取ろうとするが、魔力を纏ったルーネの最高速度に反応することができず、体当たりをくらい建造物の壁にぶつかるまで止まることができなかった。


「くそが!」

メイドは立ちあがろうとするが足に力が入らない。

影ができていることに気づき前を向くがルーネが鎖を振りかぶっているのが見えて、「犬のくせにつえーんだよ、くそが」と微笑み、何も抵抗することなく。

ルーネの最大の一撃を受ける。



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