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第5話ー台風の夜ー

「そろそろ、休むか。」

そう言うと彼女が不安そうに頷く。

「そうですね…」

彼女はそう言って立ち上がり、俺に挨拶をする。

「おやすみなさい。」


夜半になると雨風はどんどん酷くなり、屋根に打ち付ける雨の音と家の壁や窓、雨戸に打ち付ける雨風の音が大きくなった。風が家全体にぶつかった時の衝撃音はなかなかのものだった。俺はなかなか寝付けず、厠に向かう。用を足し、厠を出て、ふと彼女の居る部屋の前で立ち止まる。中からは明かりが漏れている。

「綾乃、大丈夫か。」

声を掛けると襖が開いて彼女が現れる。薄暗い中でも彼女が怯えているのが分かる。次の瞬間、風が家に当たり、バーンと大きな音を立てる。

「やっ…」

彼女は小さな悲鳴を上げて目の前の俺に身を寄せる。俺は咄嗟に彼女を抱き留める。腕の中の彼女は少し震えている。

「大丈夫だ、大丈夫。」

そう言いながら俺は彼女の頭を撫でる。こんな状態ではきっと休まらないだろうと思い、言う。

「一緒に休むか。」


彼女を部屋に連れて来る。布団に入り、彼女に寄り添う。引っ切り無しに雨風が打ち付ける。気付けば彼女を抱き締めていた。胸が高鳴る。彼女とこんなに密着した事など無い。不埒な考えを頭の中から追い出そうと試みる。けれど密着している部分が彼女を感じ取ってしまう。彼女の手が俺の背中に回っている。彼女は怖がっているだけだ、台風が怖くて、俺はそんな彼女を保護しただけだ。ダメだ、こんな不埒な事を考えて、俺は何を考えているんだ。そう自分を戒めながらも、俺の中の欲望はどんどん膨らんでいく。これは試練だ、乗り越えなければいけない試練だ…そう思っている裏で俺は彼女の体の細さと柔らかさに気付いていた。俺の心の中で確実に育っている彼女への恋慕。大切に思うなら、彼女の気持ちを尊重しなくてはいけない。俺は腕の中の彼女を見る。彼女も俺を見上げていた。あぁ、ダメだ、もう限界だ…。彼女に口付ける。彼女の口を舌で割って舌を絡ませ合う。彼女は少しも抵抗しない。唇を離して聞く。

「良いのか?」

彼女は恥ずかしいのか、俺を見ずに言う。

「はい…」

彼女に口付ける。夢中で彼女の舌を絡め取る。彼女の寝巻の紐を解き、自分の寝巻の紐も解く。白く美しい肌が露出する。俺は唇を離して、彼女の首筋に唇を這わせる。手で彼女の胸を包み、その先端を摘まむ。

「ん…」

彼女の声が漏れる。そのまま下がって行き、彼女の胸を口に含む。

「あ…」

彼女がまた声を漏らす。雨風が酷くて、打ち付ける雨の音も、吹き荒んでいる風の音も大きいのに、彼女の声は良く聞こえた。舌先で彼女の胸の先端を嬲る。手を滑らせて彼女の足の間に手を入れる。そこは既に濡れていて、俺を更に興奮させる。ゆっくり慎重に彼女の中に指を挿し込む。

「あ、」

彼女が声を出す。彼女の中は柔らかく、そして指に吸い付いて来る感覚がした。きっと彼女は男とこういう経験は無いだろうと思った。優しくしてやらなければ。俺は彼女の足の間に入って、顔をそこに埋める。

「あっ、やっ…」

彼女が足を閉じそうになるのを手で押さえる。舌を挿し込んで中で動かす。

「あぁ、ダメ…」

クチュクチュといやらしい音がする。舌を抜いて今度はもっと上の、ぷくっと膨らんだ突起に吸い付く。

「あっ、いやっ…」

そこを執拗に刺激する。彼女の体がビクビクと震える。彼女の体に力が入って行くのが分かる。

「あっ、あっ…やっ、ダメ…」

執拗に愛撫しながら、あぁ彼女は達するんだろうなと思った。彼女の体が強張って行く。次の瞬間、ビクンと彼女の体が跳ねる。口を離して彼女を見ると、彼女はガクガクと体を震わせている。達したんだ、そう思った。彼女のそこはヒクヒクと痙攣し、俺を更に興奮させる。あぁ、きっと今、挿れたら最高に気持ち良いんだろうなと想像する。俺は自分のものをそこに据えて言う。

「挿れるよ。」

彼女に覆い被さり、体重を掛ける。グニュッと先端部分が入る。

「あぁ、キツイな…」

そう言いながら腰を押し進める。押し進める度に強い快感に襲われる。背筋がゾクゾクして一気に突っ込む。一番奥に到達する感覚があった。あぁ、当たっている…。一番奥の少し硬い部分に。彼女は息を飲んで体を仰け反らせている。あぁ、何て綺麗なんだ。

「痛い、か?」

聞くと彼女が小さく頷き、それでも俺の頬に触れて言う。

「晃さんと一つになれて嬉し…」

そう言いながら彼女は涙を溢れさせる。彼女のその涙に口付けて、聞く。

「動いても良いか?」

彼女が頷く。

「はい…」

言われて俺は動き出す。突く度に彼女が喘ぐ。息を切らし、俺は夢中で彼女を突き上げる。ヌチャヌチャといやらしい音と、俺と彼女の体がぶつかる音が激しい暴風雨の音の中、響く。彼女は喘ぎながら俺に抱き着き、俺はそんな彼女を抱き締める。

「あぁ、綾乃…!」

彼女の名を口にすると、快感が増す気がした。彼女は俺の背中に爪を立てている。

「あぁっ…綾乃、綾乃…」

彼女の名を呼びながら、昇り詰めていく。彼女の中がキュウッと締まる。彼女に締め付けられ限界だった。

「あぁっ、綾乃…!!」

彼女に腰を押し付ける。一番奥にそれを押し付けるとドクンと熱い飛沫が噴き出すのを感じる。彼女がガクガクと体を震わせ、脱力する。脱力しているのに、彼女の中はキュウキュウと俺を締め上げ、絞り足られているかのように感じる。鳥肌が立つような快感だった。俺は彼女の中に飛沫を浴びせながら、ゆっくりと腰を動かす。


その夜は何度も彼女を抱いた。何度も絶頂に達した。何度目かの絶頂の後、俺は彼女を抱き寄せて抱き締め、息をつく。彼女は力無く俺に抱き締められている。

「大丈夫か。」

聞くと彼女が俺を見上げる。彼女はうっとりと俺を見ていた。

「そんな顔を見せるのは俺だけにしろよ。」

言うと彼女がほんの少し笑い、俺の胸に顔を埋める。

「晃さん以外とはこんな事、しません…」

そう言う彼女が愛おしい。俺は覚悟を決める。言わなければいけない。

「綾乃、」

呼ぶと彼女が俺を見上げる。とろんとしたその瞳を見つめて言う。

「一緒になろう。」

彼女は微笑んで言う。

「はい…」

彼女を抱き締める。


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