「ううう〜! 食べちゃった食べちゃった食べったっよ〜!!」
あの気色悪いミルワームを……食べちゃった! し、しかも美味しく頂くなんて……!
でもまだあのネズミを捕食するよりはマシだった……うん、そう思うようにしよう!
けれど、人としての? 大切な何かを失ってしまった気がするのは何故だろう?
「うわぁあああ〜んっ!! フクロウの姿は可愛らしいけど……もっとマシな餌を食べる動物に早くなりたーい!!」
こうなったら、何としてもあの2人に張り付いて何としても私が元の白蛙だと認識してもらわなければ……!
「だけど、どうすればいいのよ……今の私はフクロウ。自分ではちゃんと話しているつもりなのに……ホウホウと鳴き声しか出てこないし……」
そこで私は鳥の頭? でうんとうんと考えた。そして行き着いた先は……。
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「フッフッフッフッ……白蛙だった私がねぐら? にしていたこの花壇に常にいれば、あの2人だって私があの白蛙だったと気づくに違いない! ……かもしれないじゃない。私って中々頭いいじゃない?」
花壇の中に住むフクロウなんて、多分いないだろう。私は早速花壇の中に舞い降りようとして、隣が畑になっていることに気がついた。
畑には何やら野菜らしきものがある。そこで私は隣の畑にフワリと舞い降りた。
「へ〜……蛙だったときは気づかなかったけど、隣は畑になっているのね。でも野菜を見ても少しも食指が動かな……ヒッ!」
何と、恐るべきことに私はまたしても! 再び、あの気色悪いミルワームが青菜の上で動いている姿を発見してしまった。
「いやだいやだいやだ! 確かに美味しかったけど……もう二度と食べたくないんだからーっ!!」
叫びつつ……とうとう私は、再びミルワームを食してしまったのだった――
結局、あの後も私はそこらにいるミルワームを駆除? してまわり……お腹が一杯になってしまった為か、眠くなってしまった。
「太陽が真上にあるのに眠くなるなんて……やっぱりフクロウは夜行性……なの……ね……」
駄目だ、眠くて眠くてたまらない。
そこで私は背の高い野菜の陰に隠れるようにうずくまると、そのまま眠ってしまった――
どのくらい眠っただろうか……。
「うわあっ! な、なんであのフクロウが畑に……!?」
聞き覚えのある声にパチリと目を開けると、あの庭師さんが私を見下ろしている。
「ホーゥッ! ホーゥッ!」
(庭師さん! 待ってたわよ!)
媚びを売るために出来るだけ甘えた声を出したつもりも、出てくる声はやはり不気味だ。
「全く、花壇に住んでいた白蛙さんがいなくなってしまったと思えば今度は得体のしれない白フクロウが棲み着くなんて……一体、この城の庭はどうなっているのだろう?」
庭師さんの言葉に素早く反応する私。
え? 城? ここは城の庭だったの?
それじゃ……もしかしてクロードは王子様だったの!?
この日、私は自分が城の庭に棲み着いていたことを初めて知るのだった――