☆第三十二章 狙われているのは一体だれ?
麗奈はモテるだろうか。あの気さくな感じと何でも受け入れてくれる包容力。
わたしが男だったらイチコロかもしれない。
艶のある黒髪と、メガネの奥の二重まぶた。美人ってほどではないかもだけれど整った顔立ちをしている。
車で帰ってきた麗奈に、心あたりがないか問う。
「え、わたし?」
キョトンとする彼女。
「保健師はみんな女だし、赤ちゃん訪問も、お母さんの元を訪問するから基本的には女の人しか会わないなあ……」
いまさらだが、この家には女、子どもしかいない。そのことに少々不安があった。
「家の玄関の前に防犯カメラつける?」
「うーん、そうだね」
あとは何かできることないだろうか。
「警察に相談はする?」
「まあ、しても何らかの被害を受けたわけではないから動いてはくれないだろうけど」
「元、夫さんは?」
まさか、麗奈の元夫が麗奈のことを忘れられずに……。
「ああ、それはナイと思う。あの人は私とはもう関わりたくないって思っているよ。それより、琴ちゃんは何か思いあたることない?」
「わたし?」
まさか自分のストーカーなんて考えもしなかった。女としての魅力は麗奈の方が何倍も上だと思う。と話すと
「ええっ、琴ちゃんかわいいよ」
お世辞? 麗奈はお世辞なんて言わないタイプだから、ちょっと赤面してしまう。
「どっちにしても、用心しよう」
せっかく安心して暮らせるようになったのに。