「高木君、ちょっとこっちに来てくれない?」
明日の打ち合わせに対する返事をすることなくこちらに来いと言われる。
ただ先ほどと打って変わってめちゃくちゃ笑顔だ。
(なんだろう? まだ用事が残ってたのかな?)
昨日のこと以外で用事なんて思いつかない。
とりあえず近寄ってみる。
「そこでストップ、そう、その辺り」
さっき土下座をした位置あたりで停止させられた。
「あー、ちょっと向き変えて。はい、いいわ」
俺の体を触って位置を調整した後、
おもむろに俺の前にしゃがむ。
距離が近いせいかふわっといい匂いがする。
(こんなに近いと緊張する)
女子とこんなに近くにいるのは初めてで、
どうすればいいかわからない。
大木さんを見下ろすと、
シャツのボタンが2つ外れていた。
(あ、シャツの隙間から胸が見える)
ブラのサイズがあってないのか少し浮いていて、
もう少しで先端が見えそうだ。
「うん、これでよし」
俺の体の角度を変えた後、ズボンに手をかけた。
「な、なにを!?」
「静かにしてね」
勢いよくズボンとパンツを降ろされて、
大きくなったあれが大木さんの目の前に飛び出た。
「え……、こんなに……?」
少し驚いた様子で俺のものを見ている。
俺のは胸を見ていたせいでガチガチに勃起していた。
恥ずかしい、というかなんでこんなことを。
「どうして大きくなってるの?」
「お、大木さんの胸がシャツの隙間から見えて」
「そんなことで大きくなるの? 高木君ってもしかして童貞?」
「ぐっ」
直球で童貞と言われて言葉に詰まる。
(どう言えばいいんだ、否定する? それとも開き直る?)
大木さんは返事を聞くことなく次の動作に移った。
「気持ちよく出来ると思うけど」
そういって大きくなったそれを口に入れた。
(え!?何これ!?大木さんの口に入ってる!?)
~中略~
結局大木さんの口の中に射精した。
大満足だった。
「どうしてここまで……?」
「言ったでしょ、口止めよ」
「口止めって……」
「気持ちよかったでしょ?」
「はい!!」
「……なんで無駄に良い返事なの?」
「感謝を伝えたくて……」
呆れられた。
返事だけでは感謝が伝わらなかった。
(どうすればこの気持ちが伝わるだろうか)
まごまごしていると、またいつもの表情に戻った。
「なら口止めは終わり。教室では今までと同じ対応にしてね」
ズボンをはかされて部室から追い出された。
(まだ感謝伝えきれてなかったのに)
後悔してもチャンスの女神は振り返ってはくれない。
(とっさの対応力が本当に低いな……)
本当に夢のような時間だった。
あの小さな口の中に俺のが入って、
女神のような笑顔でしてもらえた。
(もしかして俺のことが好きなんじゃないだろうか?)
そんな妄想が頭の中を駆け巡る。
(いや、あくまで口止めでやってもらっただけだ)
勘違いしそうな自分に必死に言い聞かせる。
(大木さんは俺に好意なんて持っていない)
そう強く思わないと好きになってしまう。
モテない男は優しくされるとすぐ好きになる。
これはその通りだと思う。
やり直し前の人生でただ1回告白したことがある。
バイト仲間でよく会話するしボディタッチの多い子だった。
なにかにつけて頼られるし俺にだけ甘えるような仕草をしていた。
女性に慣れていない俺はあっという間に好きになった。
そして告白した時、
明らかに迷惑そうな顔で「気持ちは嬉しいけど……」と返事された。
後で人づてに聞いたけど「全然仲良くないのに告白された」と言っていたらしい。
俺が優しくされた・仲が良いと思っていたのは、
相手にとっては社交辞令や建前程度の付き合いだった。
もちろん相手は悪くない。勘違いした俺が悪い。
(今回は口止めだと明言されている)
勘違いする要素なんて欠片もない。
「あ、高木君、今帰りなの?」
「島村さんも帰り?」
「ちょっと遅くなっちゃって」
部室から出て少しして島村さんと出会った。
どうも島村さんも部活だったようだ。
「よかったら一緒に帰ってくれないかな?」
「喜んで」
なんと、島村さんと一緒に帰れるとは。
今日はいいことづくめだな。
島村さんが近づいてくると少し怪訝な顔をした。
「あれ、何か匂いが……」
「え?」
そういえばさっき射精してティッシュで拭いただけだった!?
もしかして匂いついてたりするのか!?
「な、何も匂わないし気のせいじゃないかな」
「うん……そうかも」
なんとか誤魔化せたかな。
あんなことをしてもらったのは初めてだから、
対処方法分かってなかった。
ウェットティッシュとか用意しておかないと駄目かな。
(ってそんな必要ないか)
あんなこともうある訳ないし。
小学校の頃はけっこう一緒に帰っていたけど、
高校になってからは初めてだ。
相変わらずニコニコして楽しそうな様子で、
俺の心も温かくなる。
(こんな子が彼女になってくれたらなぁ)
「お、真紀じゃねぇか」
ちょっとガラの悪い他校の学生が島村さんに声をかけてきた。