そうして、生徒総会当日を迎えた。
何度も言うが、この会は準備段階で熱を入れてるのなんて、運営側の人間くらいだ。参加する全校生徒の熱意は薄い。
ただ、大喜利的な意味で言えば、個人生徒の意見発表で大喜利をして全校生徒の笑いを誘おうと試みたり、ここで目立って面白いことを言い、自己顕示欲を満たそうとする人は一定数存在する。
そういう人たちからしてみれば、ある種違った意味でやる気なのかな、とは思うものの、基本的には一般生徒からすれば大したことのないイベントだ。練習期間とかもまるでないし。
そんなだから、当日の朝も教室内で生徒総会のことが話題に上がることもあまりなく、上がったとしても、「めんどくせー」や「早退しよっかな」というマイナス発言が多い。
まったく。俺は俺で誰かを救わないといけない、っていう使命感に駆られて内心ドキドキしてるってのに。えらい違いだ。
まあでも、そんなことをクラスメイト達に押し付ける気なんて毛頭ない。
俺はただ、欅宮さんを守りたい。
言ってしまえば、好きな人を守りたいだけ。
だから、こうして戦うかもしれないなーとか考えて、一人で戦々恐々としてるのだ。頑張らないと。
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――で、迎えた四限目の授業時間。
遂に生徒総会が始まった。
一同体育館に集まり、学年目標の発表やら、学内予算がどうだとか、あくびの出る話題が続く。
ここまでは、まだ何の動きもしなくていい。
見渡してみると、欅宮さんは俺たちのクラスの列に並んで座ってるし、何かを起こしそうなクラスメイト、里井くんたちもまだ体育館内にいる。
事が起こるのは、意見交換会が始まる次の時間からだろう。
それまで、ただひたすらにつまらない話を聞いていく。
予算がどうだとか言ったって、そんなの生徒にしても……って感じだ。つまらなさすぎてあくびが出るも、我慢。
で、ひたすらにつまらない時間に耐えること一時間。
「では、次の時間までにお手洗いへ行きたい方は是非どうぞ」
低身長の女の子執行委員さんが言って、ズラズラ動き出す我が校の生徒さんたち。
人の流れに身を任せ、ゆるゆると移動していく。
そして、ようやく俺は放送室へとつながる西一階校舎へ辿り着いた。
「ここらへんか……」
この辺りへ来ることはあまりなかったから、なにぶん移動には気を遣うんだけど、ともかく放送室へも辿り着けた。
扉に耳をくっつけて澄ましてみると……。
「この声、まさか……」