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第33話 生徒会室前での懊悩

 生徒総会直前となると、運営側は特に忙しい。


 運営もクソも無い一般の生徒たちからしてみれば、総会なんてものはただ単純に面倒なものであったり、クラスごとに発表していく『学校をよりよくしていくためには』という議題で大喜利をかまそうと意気込んだりと、その程度の認識でしかない。


 要は、あってもなくてもいいもの。


 面倒だけど、ちょっとした思い出になる! ……かもしれないね? というほどの青春イベントなのだ。


 だから、学校全体が総会ムードに染まってるかと聞かれれば、まったくもってそんなことはない。


 教室では、今日の小テストがどうだとか、昼休み明けの現国の授業が面倒だとか、いつもと変わらない話題で持ちきりだった。


 ……まあ、そんなもんか。


 俺は自分の机に突っ伏し、一人で寝たふりをする。


 今、この教室内に欅宮さんはいない。


 きっと、総会の準備か会議かがあるんだろう。大忙しだ。


 ――俺も頑張るよ、欅宮さん。


 特に誰かに話しかけるというわけでもない。


 寝たふりをし、視界が暗くなっているところで、俺は小さく呟くのだった。




●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●




 ――てなわけで、やって参りました放課後戦争タイム。


 いや、正確に言えば戦争なんてこれっぽっちもするつもりはないんだけどね?


 あくまでも穏便に、聞きたいことだけを聞き、納得して平和に帰るつもりだ。


 喧嘩なんてしたことないし、俺ができるとも思えない。


 特技はラノベを一日三冊読めることです!


 なーんて風にしか答えられない、バリバリインドアな平和主義者なのだ。


 ほんと、喧嘩なんてするつもりないです。微塵も。これっぽっちも。


 ただ、そうは言ったって、聞かなきゃいけないことはしっかりと聞かないと。


 そのために、初対面の人間と会話しに行くんだし。


 何の成果も得られませんでした! じゃダメだ。


 巨人の世界ではギリギリ許されても、現実でそれは許されない。


 取らないといけないものは取らないといけないし、上げないといけない成果は上げないといけない。


 ……しかし、そう考えてみると、俺ってブラック企業の社長になれるんじゃないか、とも思ったりする。


 よく言いそうじゃん。


『成果上げるまで今日は帰れると思うなよ。死ぬ思いで契約取ってこいや』なんて。


 怖すぎだろ。なに、こわ……。こんな時だってのに、自分が怖くなったよ? 何なの?


 訳の分からないないことをつらつら考えつつ、俺は「いやいや」と首を横に振る。


 バカなこと考えてないで、さっさと生徒会室の扉を開ければいい。


 眼前には、恐ろしいオーラを放ってる(ように見える)生徒会室の扉とドアノブがある。


 これを開けて、早いところ生徒会長に話しかければいいのだ。


 でも、しっかりアポ無しだし……。うぉぉ……、ど、どうしたものか……。


 そうやって、扉の前で右往左往してる時だった。


「ん? 君は?」


「――えっ!?」


 声のした方を見ると、そこにはお目当ての生徒会長様が立ってらっしゃった。


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