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第13話 支えられるのは俺だけです(欅宮さんside)

「………………///」


 私――欅宮秋音は今、自室のベッドに寝転がっています。布団をすっぽりと被り、お気に入りの抱き枕を抱きながら。


「秋音ー! お母さんとお父さん買い物に行ってくるけど、あんたも来るー?」


 一階からはお母さんの呼ぶ声が聴こえますが、これは昼寝をしているということにして無視。


 お父さんとお母さん、二人には悪いけれど、私は今それどころじゃないんです。


「お、思わず通話切っちゃった……切っちゃったよ……/// で、でも……でもぉ……うぅぅ……///」


 まさか、いきなり宇井くんがあんなことを言ってくるとは思ってもいませんでした。


 もちろん、普段からそれっぽいことを私の方から言ったりしてる身です。


 こうやって逆襲されるっていう展開も想定していないことはなかったのですが、いざやられてみると……お、思ったよりも威力が強く、ついつい逃げ出してしまいました……。


 宇井くんにどう謝っていいのかわかりません。


 恥ずかしいし、なんて返していいのか……。


 せっかく私なんかのために土曜日の大切な時間を割いてもらってたのに。


 ……けど……、


『いいよ/// 私の胸を支えて///』


 なんてこと、絶対に言えません……。そんなの言えるなんて、もはや痴女じゃないですか。恥ずか死んじゃいます。まともな顔してられる自信がありません。


 しかも、胸を支えるという行為自体、物理的に考えて宇井くんに背後から抱かれて、手を回されるってことですよね。


 そんなの……む、無理です……/// 絶対に……無理……/// 正気を保ってられる自信が本当に……///


「っ~……///」


 足をばたつかせてる場合じゃない。


 わかってますけど……でも……。


「……ど、どうしよう……どうしよう……」


 結局、私はその日、ひたすらずっと悶々としながら、自分の胸を宇井くんに支え続けられる世界線と、それよりも他に何かいい案がないかという世界線の二つをグルグルと考え続けてました。


 スマホの電源は切ったことに気付かず、考えては足をばたつかせ、抱き枕をギュッとしてみたりと、ひたすらに生産性のないただの妄想を繰り広げながら、ずっと……。


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