その日の夜、あたしはお父さんと、いっぱいいっぱいお話しした。
何年ぶりやろか? こんなにお父さんに自分のこと喋ったのは。
お父さんはときどき反論をしてきたけれど……。
でも最終的には分かってくれた。
あたしがいま山田君を好きになって。
そして、すごく幸せなんだってことを。
…………。
なんか恥ずかしくなってきたっちゃけど。
えろう不思議。ちょっと前まであたし、山田くんのことを意識なんかしとらんかったのに。
そらもう、朝から晩までとんこつの事ばっかり考えよったけんね。
……いや、いまでもだいぶん考えよる気もするけれど。
きっかけは本当に、ささいなことやったよね。
クラスの男子に告白されて、ちょっと嫌な感じになりよったところを山田くんが助けてくれて。
えへへ、あのときの山田くん、いま思い出してもやっぱりかっこよかったとよ。もう好き。すきすきすき。考えるだけでニコニコできる。
やけんあたし、しっかり告白したっちゃけん。
二次元派の山田くんには、ふられてしもうたけど。
……でも、でもでも!
あたしはやっぱり諦めきれん!
やけん二次元に宣戦布告して、絶対あたしのほうが魅力的な女やけんってアピールしたっ! あたし、頑張ったっ!
その甲斐はあったよね? 少しはあたしの気持ちとか、伝わりよったんよね?
だから、くさ。……山田くんだってまんざらやないけん、あたしのこと、デートに誘ってくれたんかなあって、いま思いよる。
学校何日も欠席したら、あかりちゃんと石川さん付きやけど、家まで来てくれたし。
嫌いな人やったらそんなことせんもんね。
あたしの気持ち、少しぐらいは山田くんに通じたって思っていいとよね。
そうだとしたら……
えへへへへ……。
にへらにへら。
思わず笑いがこぼれてくるとよ。
山田くん。
あたし、山田くんを好きんなってよかった。
ゲームとか、自分の知らん世界も知ることができたし、あかりちゃんとか石川さんとか、東京で女の子の友達もできたし。お父さんとも久しぶりにたくさん話せたし。……それも全部、山田くんを好きんなったのが始まりやったね。
山田くん、あたしこれからも絶対、山田くんに気持ち伝え続けていくけんね。
二次元よりも何よりも、カンナが大切だ。カンナのこと好きって言ってもらえるように頑張るけんね!
山田くん。
好いとうよ。