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第177話 課題

課題なのかな

と思う

おれに与えられた

おれにだけ特別に捻出ねんしゅつされて

クリアできないことは ないだろうけど

クリアできないとしたら 大問題だよ?

みたいな


課題なんだな

と思う

おれは薄々うすうす気づいていたよ

試されてる

試されてるか

試されてるな

正直なんだか気味悪かった


課題なのかも

と思う

絶望したいよ

できることなら

絶望したいさ


からのなか閉じこもって

ほらのおく引きこもって

きるまで泣けたらいいのに


そもそも性格

そういうんじゃないし

もともと根性

意地っ張りだし

どちらかといえば

正義とともに歩みたい


なのに

嘘つき

つまり

泥棒

たいせつなひとから

時間を


たいせつなひと

あなたに心からの謝罪をこめて

手紙を書きました


こんな満月みたいな夜で

もしかしたら月食だったかも

記憶は書き換えられるもの

思い出すたび

おれに都合よく

思い返せば

あらたな記憶として定着し

明日には

もっともらしく座っているさ



課題なんだよ

とっくにクリアしたと思い込んで

まさかのまさかで

まさかのまさかさ


夢の中は無防備だから

あの道を歩いている

もう存在しない世界さまよいながら

おれの主張


試されてた

試されてたけど

試してたのは

自分自身


おれは自分を信じたくて

わざわざ疑いかけて

ときには素肌に刃をあてて

だめだよ そんな こんなこと

だめだよ こんな 

必死に抵抗して

必死に抵抗したから

洞窟の奥で眠っていた私を

呼び起こすことができました


しょうがないなあ

でもいいの?

自由に生きていいのに

自由にふるまえばいいのに


せっかくだもん

好き勝手すりゃいいじゃん

なのに

あなたときたら







正直なんだか気味悪かった

試されてるな

試されてたさ

試されてる

おれは薄々うすうす気づいていたよ

やり残しは許されない


昨夜ゆうべたっぷり愛情こめて書きしたためた手紙

破いて

いて

鏡を見る


よし


いくよ



からっぽな気持ち

まっさらな自分で


私は呼び鈴インターホンを押した











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