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第176話 野生の生命

絶叫さけびなだめりゃ飼いならせそう

いいえむちも必要

だって結局ぼくらは野生の生命いのち

そんな

あたりまえのこと

忘れたフリして

知らんぷりした

おまえとは いられない


涸渇かわきむせべりゃいずりまわる

そうさ一撃トドメねらえる

かつて相棒ぼくらは相思相愛

そんな

いまとなっては

気持ちワルイ

吐気はきけがするよ

おまえとは いられない




二十二時

いつもなら

帰りの電車で窓から闇をうかがえば

ゆがんだ自分の顔を見せられる


やっぱり ぼくには きみが必要だ

なんとか おりあい つけたいんだ


やっぱり ぼくには ムリみたいだ

そんなの ちゃんと わかってるよ


けど でも だからこそ


なんとか おりあい つけようぜ?

やっぱり ぼくには きみが必要だから



ぼくは深淵しんえんくすぶ低温気味ていおんぎみほむらを吹く

酸素オーツーたっぷり

嫉妬ジェラシーびっしり

きみが割る カツーン まき

くだけ散る嫌悪けんおがキラキラきらめ

ユラメク自我じがは燃えカスだろ


私は野生の生命いのち

むちあやつ

不安ふあん♪

恐怖キョーフ

緊張きんちょうするよ

ヤバイよ

あせるよ

興奮コーフンするよ


目をけたまま感じられる

よろしくな おれ

私は鏡のやみに向かって笑顔をつくる練習を始めた




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