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第171話 顔色

顔色かおいろうかがっても

心模様こころもようまでは解読かいどくできない

せいぜいビクビクして過ごすだけ


夜道の暗さが気持ちいい

塾からの帰り道は胸が踊る


見たい番組があるけれど

いつものことながら不在です


学校で話題になるとしても

その輪に加われないだろうな


鉛筆

シャーペン

使い慣れたの

真新まあたらしいの

ノートにまとめるつもりが

意味不明な言葉を綴るばかりで


あぁ

夕暮れに吠える犬のように

朝焼けに叫ぶ鶏のように

自分にも動物としてのなにかが

あるなら

存分にはなちたい


せめて布団で眠るときくらい

自由で自分勝手な行動

目覚まし時計が鳴り響くまでは

自己中心的な希望を

伝書鳩に託すのみ


ほんとうに見たいのは君の笑顔

けれども隣で少し寂しそう

それでも拒否されない限り

おれはその手をつかんでしまう

どんな気持ちなのか測りきれず

顔色かおいろうかがってしまうけど


家まで送るよ

平気だなんて言われても

そりゃあ確かにそうかもしれないけど

おれのわがまま

家まで送る


夜の暗さが安堵を招き

危険な空気が流れていても

街灯が点滅している

遠くから見て

近づくたび切なくて

そろそろまたほら

話題が湧いて

声が尽きる



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