創作ダンスの試験で落ちたら凹むけど
階段と階段の方向転換する区域
私がうまく
仲間に迷惑かけてしまった
足を引っ張ってしまった
チームの得点
競作ダンスの試練を超えれば終わるけど
いっそ全部なにもかも自己責任のほうが気楽
だから ひとりを選んだ
そろそろ期限だ
準備なんて整わない
いつもの時間だ
自分で自分の
もはやうまいへたもなく
講堂から出て
陽射しを浴びたとき
ふと呼び止められた気がして
勘違いだろうとわかっていたけど
念のために振り返ると
いつか どこかで 会ったことのある顔
けれど どこにも 記憶にない表情
誘われたのは
ダンス一切ない舞台
とくに演技を求められることもなく
ひたすら
とても面白かった
「ひまなとき、なにしてるの?」
そう聞かれたので
とくに なにも?
と答えるのは素っ気なく思えて
「眺めてるよ」
ビルの屋上は吹きさらしの風
帽子なんて一瞬さ
「ここって、はいってもよかったんだね?」
と確認されて
「ああ」
と答えたけれど
立ち入り禁止の看板を勝手に捨てたのは
おれ
物理的でなく
見えない結界のような看板だった
勝手に
と
無言の
それ壊したの
おれだ
冷静に考えればヤバイ場所だと
きみを連れてきて気づく
ここ手すりとかないから
そんなに はじっこ いくなよ
いつも過ごしている街が
いつもとちがう角度で視える
「あれは駅、あれがカフェ、あれ商店街?」
きみが言い当てていく
おれは水平線ばかり見てる
「それが神社、そっち公園、そこにホール」
おれが森の
「城は?」
「城?」
「ないの?」
わからなかった
どうやら城があるらしい
おれは知らなかった
聞いたことがないし
地図よく見るけど
あったっけ?
とまどうおれの隣きみが
とつぜん姿勢を正して発声しまくり
空気が避けるのを感じた
なぜだろう不思議すんなり体が動いて
くるくる舞う
くるくる舞い
ふわり浮く
ふわり飛ぶ
よろめくふたり
まっさかさまになりそうで
落ちないように
そのとき見えた
きみは姫で
あれもこれも許してもらえず
炎のまえ
巫女の舞いを眺めているだけ
ちいさな櫓のような天守閣
その袖の模様
きみのスカートと似ていた