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第162話 気になる

「いってみたいところ、あるんだけど?」

前にも聞いたことのあるセリフ

たいてい未知なる世界への扉

うっかり付き合うと

恥ずかしい思いをすることになる


「どこ」

いちおう

だけど

関心があるよというトーンを意識する


なにげないひとことが

どうしてそうなるという暴挙に変わられてしまっては

もともこもない

ただでさえ『反応が薄い』と非難されるてるし

すこしでも『感情的?』な声で…

と思うけれど

なかなか正解わからなかった


なかなか答えない

あれ?


深追いするのはやめておこう

こんなときの沈黙が好きなので

おれは心地良く黙り続ける


ふと隣を見れば

キレイにかされて

魚が束ねている髪


ひがのびた

まだ夕暮れを味わえる


どこいきたいって


気になる


そういえば

おれにつきあわせてしまっているのなら

ちょっと いつも いまいち かもな

かえりみるけれど

だからといって

遠くとかは


どこ?


結局

そのまま彼女は黙ったままで

おれも質問しないままで

じゃあね


彼女の家の門が木造から鉄骨っぽく変わってた

塗りたてだろうか

手でれようとしたとき

「もう乾いてるから大丈夫だよ」

と言われて

「ぉぅ」

とやけに自分が小声で

結局それをさわらなかった



その夜つけたラジオ

いろいろ聴いたけれど

あのときの彼女の話

結局ずっと気になってる







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