展望台の階段を登るとき手すりを握った
あまりにも風が激しくてよろめいたが
なぜだろう
倒れる気がしない
バタバタバタバタあおられて
シャツが帆になる
自由飛行に憧れるけど
いまは空想だけでいい
手すり強く握り
まぶたを閉じてみる
毛細血管の潮流は
働き者だ
見返りを要求してこない
ほんのわずか
希望のように
胸にひらめく
いまこの手を離したらどうなる
自由飛行を夢見て
空を目指してしまうだろう
打ち上げ花火の落下傘みたいに
どこに着地するのか読めないので
想像だけで終わらせるよ?
あ
階段おわったかも
手すりの果て
さあ目を
いや
ちょっとだけ
もうちょっと
まぶた閉じたまま