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第160話 まぶた閉じたまま

展望台の階段を登るとき手すりを握った

あまりにも風が激しくてよろめいたが

なぜだろう

倒れる気がしない


バタバタバタバタあおられて

シャツが帆になる

自由飛行に憧れるけど

いまは空想だけでいい


手すり強く握り

まぶたを閉じてみる

毛細血管の潮流は

働き者だ

見返りを要求してこない


ほんのわずか

希望のように

胸にひらめく

いまこの手を離したらどうなる


自由飛行を夢見て

空を目指してしまうだろう

打ち上げ花火の落下傘みたいに

どこに着地するのか読めないので

想像だけで終わらせるよ?


階段おわったかも

手すりの果て

さあ目を


いや

ちょっとだけ

もうちょっと

まぶた閉じたまま






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