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第159話 低い声

わくわくする

階段をおりるとき


いつか こんな感じ 

どこかで あったっけ?


思い出せそうなのに

思い出せない


まあ いいか


一瞬だけ思い浮かんだ

どこかの展望台


あれは たしか


と なにか思い出しそうになったとき


いつもの扉の前に誰かがいた


知ってるひと?

どうだろう

その赤いワンピースの女性に

『こんにちは』

と挨拶する


挨拶しながら

『こんばんは』だよな?

と気づく


その女性は振り向き無言

あれ?

と奇妙な感じがした次の瞬間に


「ありす!」


おれの背中から声が聞こえた

マキの声だ


おれではなく

その声のしたほうを見たのだろう

赤いワンピースの女性の視線が上へ

「まきの」と つぶやいた


マキが階段おりてきて

おれの隣

すると

ありすと呼ばれた女性が

おれに視線を向けて


「あんた誰」


とさっきよりもかなり低い声で言い放った


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