わくわくする
階段をおりるとき
いつか こんな感じ
どこかで あったっけ?
思い出せそうなのに
思い出せない
まあ いいか
一瞬だけ思い浮かんだ
どこかの展望台
あれは たしか
と なにか思い出しそうになったとき
いつもの扉の前に誰かがいた
知ってるひと?
どうだろう
その赤いワンピースの女性に
『こんにちは』
と挨拶する
挨拶しながら
『こんばんは』だよな?
と気づく
その女性は振り向き無言
あれ?
と奇妙な感じがした次の瞬間に
「ありす!」
おれの背中から声が聞こえた
マキの声だ
おれではなく
その声のしたほうを見たのだろう
赤いワンピースの女性の視線が上へ
「まきの」と つぶやいた
マキが階段おりてきて
おれの隣
すると
ありすと呼ばれた女性が
おれに視線を向けて
「あんた誰」
とさっきよりもかなり低い声で言い放った