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第148話 まやかし

なにかを手に入れるために

それなりのなにかを失うのなら

なにか法則めいたものを感じるけれど

ふと思う

そんなの まやかし


宇宙の神秘に気づいたのならば

潤いばかりの泉も見える

ひとの価値観を物差にしたところで

賢くなった気分になるだけ

とにかく まやかし


風に吹かれてる

微粒子の雨が体を突き抜けても

なにひとつ壊れたりしないのを

どうぞ科学的に説明してください


見えないもの

聞こえないもの

できないものを指摘されても

見えているんじゃしょうがないよ

聞こえているんだどうしようもない

できることのひとつ

そのさきの ふたつ

科学的に証明されるのを待つのは退屈すぎて

途方もない研究に敬意を示すと

意外な事実が浮き彫りになりました

なんだかんだ ああやこうだと

科学と論理を振りかざして

否定ばかりだね

なぜ研究のかけらもせずに

誰かの理論を使いこなして

そんなに言葉で暴れるのですか


つまるところの まやかし



そんな うだうだ

こんな ぐたぐだ

どんな私も彼らと同じか

似たようなもの


そんなふうに あきらめかけたとき

あなたの視線と出会ってしまった

どんなふうに あきらめればいいのか

あなたが生きている存在でよかった

ほんとうに

あなたが生きている

誰の目にも

ちゃんと生きている



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