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第144話 ちょっと聞いてくれるかな

どこが一階なんですか

ここだよ 

ほら


ガラス窓の向こう

じっくり眺めていると

たしかに

そこは運動公園に続くメインストリートだ


ヤマボウシの並木道

その舗道には

瓦を砕いたカケラたち

石畳のような風情だけれど

なんちゃって舗装


ここが一階なんですか

そうだよ

ほら



どことなく

すでに来たことあるような空間

もちろん初めてだけれども




「あのさ」

「ん?」

「ちょっとだけ聞いてくれる?」

「うん」


カウンター席というらしい

とまりぎ?

まあいいや

隣に座るのか

こんな感じなんだ

ちょっとイスが高くて

浮いている


まわらないけれど

まわりそうな座り心地

彼女の姿勢

どこにも寄りかからず

なんか浮いている

スカートからのぞく膝上が

歩いているときよりも

にょきっと面積が広がって

いつまでも視線を落として眺めていたいと思った

でもすぐテーブル

氷からん

淹れたて飲めるというけれど

淹れたてってなんだろうか

そんなことを考えていたら


「あのさ」

「うん」

「ちょっと聞いてくれるかな」

「いいから話してみようか?」


しばらく問答みたいに繰り返してしまった




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