目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第142話 ひとくち

やばいなと思ってることがあって

あまりにも想像の時間が長すぎて

現実への対処というか反射神経的な会話が

ちょっと苦手なままなんだ


まずいなとわかってる

かえなくちゃ

とあせってる

いま目の前にいるきみへ伝えたいことを

ゆうべ

あまりにも

想像の世界に住む幻

きみをほうふつさせるものの

きみではない


試行錯誤か実験か

言い訳しても みぐるしい


深呼吸こっそり

それから「あのさ」

思いきって切り出す


という時点で

なんていうか不自然

もっと自然なコミュニケーション

秘密の中庭ハーブの香り

思い思いのデータ

サッと

いれて

ぱっと

出して

気持ちよくなりたいだけなのに

手に汗にぎる感覚

言葉を選んでしまう

なあ もっと 気軽にいこうぜ?

いつも自分に言い聞かせても

どこか疑問形



せめてもの救い

まだここにいる

まだチラリこちらを

様子うかがう眼差まなざ


あんまり視線に耐性ないけど

がんばってるんだけど

きみが髪をかきあげたとき


ぜんぶこぼれた


奇跡の箱庭ハープの音色

想い想いのセータ

カット

きめて

やっと

抜いた

満期ゼロで着地するまでのあいだ

挑戦しつづけていいんじゃないのか

もともと賢くないのだから

なりふりかまうな



ちょっと時間かかってしまったけど

いい感じに記憶は薄れて

ある程度のエッセンスだけ残りました

ほのかに石けんの香り

シャンプーは髪のすみずみ

さあ自分をスタートだ







想像の世界は

自分の創造の限界

どんなに素敵な夢であろうと

現実のきみにはかなわない


そんなきみが

おれと会うこの日のために

なにかしらの

なにかをして

なにかのこと

言いたいこと

おれがそっと

みとらせていただきます



どうせ勘違いや誤解で落ち着くなら

早いほうがいい

って思うけど

せめてあと少し

ほんの少しでも

この居心地のよさを味わいつくしたい



どんな味がする

ひきたての香り

どんな味でも

きっと好きになるから


最初の ひとくちを




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?