自転車で海岸沿いを走っていると灯台が見えてくる
登れる灯台と
入ることさえできない灯台
塔のような大きなタイプと
こじんまりと灯篭みたいなサイズ
陸を走る私にとっても灯台は目印になっていて
ただひたすら走りたいだけのとき
いつもそこにある存在そのものが
安心できる
安心?
たしかに安心感に近い
よく逃げ出すけど
本当は戻りたいだけなんだろう
居心地の良かった世界に
それは無理
って理解してるから
ひたすら走って走って息を切らして
どこにもないものを求めていることを思い知って
変えたくなる
変える
なにを
親?
ちがう
友達?
まさか
学校?
あれは動かない
塾?
やめればいい
彼女?
なぜいま思い出す
自分
そうだ自分
いつも無力感いっぱい
だけど
おれは おれを 変えられる
そうだ
未来的な「なりたい自分」じゃなくて
進路指導の「希望」じゃなくて
筋トレで鍛えるみたいに
壁うちで汗を流すみたいに
変えるというより
変わっている
思わず街のショーウィンドウに映る自分に酔うみたいに
かっこよくなりたいんだよ