階段を登っているとき不思議な感覚
いつも来て知っているはずなのに
頂上に着いたら別世界
そんなわけあるかよ
わかっているのに
強く期待するわけじゃないけれど
わずかながらに妄想する
鉄階段の響きが好き
だって存在バレバレだろう?
隠しようがない音
もし誰かが上にいるのなら
ちょっと動いただけで
空気の振動で伝わってくる
誰もいない
誰かがいる
どちらかなんだ
いままで誰かがいたことなんてなかった気がするけれど
それは たまたま そうだっただけ
誰かがいる
誰もいない
いつのまにか空想
足を止めると
風の冷たさが
ひたいのあたり
くすぐる
いやなことばかりだ
嘆いたわりに
こんな場所なら悪くない
もしも宇宙の彼方から
この展望台を観察しているなら
おれは遊び心で
ふざけた合図を送りたい
手をかざす
まぶしくないのに
腕をのばす
ひっぱられるシャツ
ああ
叫びたい