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第8話

 悪いのはおれのほうさ

 わかってるよ

 やることやらずに

 いやだと言えずに

 ほっぽりだして

 逃げてきたんだ

 言い訳しようがない

 けど


 本当にそうなのかな?

 ってちょっと思う


 そもそも

 ほんとうに悪いのは誰

 どっち


 あたりまえのことが

 あたりまえにのさばる世界で

 特殊すぎるルールが

 たまたまおれを支配している


 おかしなことが

 おかしなまままかりとおるのに

 それは普通

 それがフツウ

 だから


 いいから言うこと聞きなさい


 いいから言うとおりにしろ


 疑わなかったわけじゃない

 イヤだよと抵抗したこともある

 言いくるめられたというよりも

 悩みに悩んで考え抜いて

 自分の判断でここまできた


 だから余計に

 このままでいいのか本当に

 このままでいいのかなにもかも

 って


 逃げてきた



 展望台の鉄階段は容赦なく冷たく響き渡り

 ゆきばのないほてりを弱めてくれる

 潮の香りが感じられれば

 おれはおれを許せるだろう

 そうしたらあらためてもう一度

 おれは自分の判断をしよう


 いままでそうしてきたように

 おれは自分の判断を信じよう


 ひょっとしなくても

 間違えてきた

 もしかしなくても

 間違いだった

 そんな自分の判断たちに報いるためにも

 あらためてもう一度

 おれは自分で判断する




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