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第7話

 カンカンカンと響く階段の音は鉄分たっぷりだ


 試着室で見た水着の色が視界に残り続けている


 自分らしい生き方を心掛けているつもりが


 なんとなく怠けているような罪悪感に染まる



 誰かに言われた言葉


 決して言われたわけもなく


 身勝手な空想の領域



 言われた覚えなどない


 身勝手な妄想の妙域


 そっか


 自分を苦しめていたのは自分自身だった





 それを誰かの声に置き換えて


 その誰かのせいにしたりして


 この気持ちの周波数を調べようともせずに


 風ばかり求めてさ



 試着室で見た水着の色が視界に残り続けている


 ふわりひるがえる長いスカート


 淡い模様が見えた気もするけど


 無地のはずだ


 ほらあわてなくていいから


 おれは手を握ったまま一歩づつ先を行く


 カンカンカンと響く階段の音は鉄分たっぷりだ






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