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第3話 「夏の終わり」が始まる眩しさ

夏が終わったなと感じたときに

これは始まりにすぎないと気づく

何度目の夏だろうとも

初めてみたいに衝動的に駆け抜ける

飽き足りなくて淋しさは一瞬ほんの一瞬だけ

すぐに別の楽しみ方を見いだしてしまうから


誰かとつくったオリジナルソングのほとんどが

振り返ってみればありきたりなタイトルばかり

まいったな

まいったよ

まいったぜ

なにもかもが「夏の終わり」


どれもこれもそれもみんな似ていて?

そんなはずないよ

と言いかけて言葉を飲み込んだ

なんのために努力を重ねてきたんだろうね

嘆くよりも早く懺悔を公開するがいいさ

なにもかもが

どうってことないことだよ


どれもこれも

どうってことなかったんだ


いつまで自分で自分を責めているつもり

夏が終わったかと感じたときは

気をつけたほうがいいんだぜ


だって なんにも 見えていない証拠 だから


見ているのに見えていない

聴いていたのに聞こえてない

誰になんと言われようとも

きみは正しかった


そんな当たり前のことまで手放すつもりで

展望台に来たとしたら

なにか勘違いにもほどがあるよ

風に吹かれて

あおられる髪も

風に吹かれて

ひるがえるスカーフも

同じ配列の記憶の粒子で構成された「夏の終わり」



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