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第2話 たぶん、ほら

 たいてい誰かがいる

 道を歩いていても

 お店に立ち寄っても


 誰もいないところをさがすほうが難しい

 とか考えていると

 まわりにひとの姿がない


 さみしがりやのくせに

 ひとりきりになると

 気持が軽く感じるのはなぜか


 ふりそそぐ陽射しを浴びて

 とりとめのない感情を解き放つとき

 なんていうか自由そのもの

 なんていうか気分ころころ


 変わる

 戻る

 揺れ幅の大きさに圧倒されて

 風があおる

 凪をしのぐ

 いつも次の瞬間は別世界


 どんなときにどんなことを

 どんなときにどんな服で

 どんなときもこの靴で

 歩き疲れ果てるまで


 いちばん頑張っているのは

 おれの足だから

 こいつがいちばん自慢話をすればいい

 なのに

 いつも靴の中で黙ったままで

 なにも語らなくて

 らくらく空気に触れてるだけの

 舌が今日も騒がしい


 触る

 離す

 自分の夢なのに独立した浮遊物

 制御をはずれ見知らぬ街へ

 容赦のないひとり旅


 どこだろう

 どこだっけ

 見慣れないな

 見慣れないが

 見覚えがあり

 思い出せそう

 たぶん ほら あそこに展望台




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