目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
展望台の階段で
清水レモン
文芸・その他
2024年08月16日
公開日
5,016文字
連載中
展望台に登りたくなるとき、なにかを変える決意をしていた

第1話  展望台の階段が見える

 考えすぎかもしれない


 あたまをカラッポにすれば


 きっとラクになれるはず


 風に吹かれているだけでもいいけれど


 展望台にいくことにした




 答が見つからない


 というより


 いくつもありすぎて


 選ぶに選べず


 機能停止になってしまった



 なんだこんなに近かったっけ


 展望台へ向かうルート


 さびついた扉が揺れている


 まだまだ遠いはずだけど


 まるでもう着いたみたいな気分



 やめたい


 逃げたい


 ぶちのめしたい



 やめたい


 言いたい


 さけぶよ無口




 そりゃまあね


 いつもいつも顔色うかがって


 びくびくしながら生きている


 そりゃそうさ


 望まれても応えられず


 それでも受け入れられているのに


 こっちの望みは聞かれもしない


 もしも


 ちょっとでも


 言おうとすれば





 風が吹いてる


 潮の香りだ


 おれはかなえるために生きていたいだけなんだろうな



 「くちに出せば願いは形になるよ」



 実現が形なら


 形あればこそ壊される




 もういやだ


 言葉で壊されてしまうのは



 おれの焼かれたノートたちは


 ポエムを載せていたけれど


 つづった想い


 こっそり心に隠してある


 こっそり胸にひそめてる


 こっそり


 そおっと




 決めた


 おれは誰にも夢を語らない


 ただひたすら自分とだけ


 ほうら


 見えてきた


 坂道を登り終えた広い頂上


 展望台への階段だ


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?