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第62話 会議は踊る踊る、ぐるぐると

「総ミスリルの場合の補正値合計は、っと。250かー、意外に低いね!?」

「ゆーちゃん、250は低くないよ! 正気に戻れや!」

「やばっ! アポイタカラの補正合計が400だったから、それ基準にしてた。オリハルコンとか知名度高いからもっと補正あるのかと思ってたら、こっちは300かー。とりあえずオリハルコンはなしだね」

「確か法月紡績のHPホームページにあったような……うん、ここにあるよ、金属毎の補正値。これ伝説金属100%で作ったときので、これを元に何割使って布にするかとかメーカーの方から指定があるんだ」

「へえー、へえー! 面白ーい!」


 私たちは寧々ちゃんのスマホを揃って覗き込んだ。

 ミスリルの補正値は明らかに魔法使い用だなあ、HPが+50、MPが+100、MAGとRSTが+100で、VITが+20。それ以外は+10で総合計がHP・MPは150でその他ステータスは250。


 オリハルコンはその+100が付いてるところがAGIとDEXだ。浮遊する金属だもんね、そりゃAGIも上がるよね。その他の補正はミスリルよりちょっと良いかなって程度。VIT補正+20はちょっと辛い気がする。

 これも後衛でDEX必要な射撃系武器の人向きだなあ。近接はもっとVIT補正付かないと。


 アダマンタイトは+100補正がSTRとVITに付いてた。この3種の伝説金属で補完しあってる感じなのかな。そういえば、ヒヒイロカネとアポイタカラは日本でしか出ないんだよね。なんでだろう?

 そもそも日本、ダンジョンの数が他の国に比べて圧倒的に多いらしい。なぁぜなぁぜ?


 ヒヒイロカネは全体的に修正が付いてるね。STRとMAGだけちょびっと低いだけで、55から60くらいの修正値がある。防具としてはこちらの方がありがたいなあ。


「アポイタカラはヒヒイロカネの色違いって言われてるんだけど、実は補正が高いんだよね。ヒヒイロカネより50も高くて、それでヒヒイロカネみたいに満遍なく補正が付いてると最高かなー。

 寧々ちゃん、一度うちに帰った後で、法月紡績さんにアポイタカラ10キロ預けるから、それでどんな補正が付くか調べて貰えないかな?」


 さすがに学校にアイテムバッグは持って行ってないからね。アポイタカラは今は私の部屋のアイテムバッグの中です。


「うん、アポイタカラは今まで産出量が少なすぎて流通してなかったから、データが取れたら伯父さんも喜ぶと思う。どのくらい使う?」

「どーんと10キロ、全部布にしちゃってください! そうすれば私たちの防具を作るときにも使えるし、足りなかったらまだ出すし。武器が思ったより消費少なかったんだよね」

「柚香様、私もアポイタカラの武器欲しいです。ください」

「割引くらいはしてあげるけどただで上げるわけにはいきません」


 話のついでのようにかれんちゃんがたかってきたので、さくっと突き放す。これは最近のお約束だね。


「10キロかあ、凄いねえ。インゴットじゃなくて鉱石だから、ロスは出るんだけどね。布にしたら7キロか8キロくらいに減るかな」


 寧々ちゃんが何気なく言った一言で、実は今まで謎だったことが腑に落ちた! ピーンとね!


「あ、そうか! インゴットは純粋な金属だけど、鉱石原石だから、ロスが出るのかあ。武器クラフトしてもらった時、10キロのアポイタカラを使って、村雨丸と棒手裏剣と蓮くんのロータスロッドになったんだけど、できあがった物を合計しても10キロじゃないよねえって密かに疑問だったんだ!」

「棒手裏剣」

「私もそこ引っかかった」

「もしかして柚香ちゃんのサブ武器、手裏剣なの……?」


 え? そうですが、なんでみんなそんなに残念な物を見る目で私を見ているの!?


「うん。棒手裏剣5本おまけで作って貰ったんだ。太ももとかにベルトで留めてさ、即効性のしびれ薬塗っておいて投げる! 良くない?」

「サブ武器って、ダガーかナイフが定番だよね? それを太ももにベルトで留めるのは大賛成だけど。……うん、うん、太ももにダガー留めてるゆーちゃんかっこいいね。でも現実は手裏剣なのかー!」


 あいちゃんがスケッチブックの上に伏して嘆いてる! なんで!


「手裏剣って言っても、これ、こういうやつだよ!」


 写真に撮っておいた私の棒手裏剣見せると、あいちゃんはちょっと持ち直した。フォルムのスマートさと、アポイタカラの金属としての綺麗さが気に入ったみたいだ。


「うーん、綺麗。あああっ、この色でダガーだったらほんとかっこよかったのに! てかさ、ゆーちゃんこれをサブ武器にしてどう戦うの? 村雨丸使えなくなったとき、これは握ってブッ刺す感じ?」

「ううん。村雨丸が使えなくなったら素手戦闘だよ。だから、手甲を……ごめん、武器兼防具として手甲が欲しいです」

「バカー! そういうことは早く言ってよー! デザインがあらかた没になった!

 それに、手裏剣のホルダーは別口でどっかで作って貰わないと」


 激おこのあいちゃんにスケッチブックでばこんと頭叩かれた! 扱いが荒い!

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