目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報
第35話 突発配信 ゆ~かのステータス講座 その1

「じゃあ、とりあえず明日夕方に特訓配信ってことで」

「待って! このまま、ゆ~かチャンネルの方で冒険者のことをよく知らない人向けにステータスの見方とかを説明する配信やるよ! そのままスライドしてくださーい!」

「だからおまえ、打ち合わせにないことやめろって」

「今思いついたんです! 思いついたときがやりたいとき! やりたいときが楽しいとき!」

「くっそ……俺もきちんと聞いときたいから止められねえ……。というわけで、今日も配信見てくれてありがと。またな」


 スマホに向けての決め笑顔、アーンド小さく手を振る蓮くん。

 コメントには『移動しまーす』って言葉が連なった。


 今度は私のスマホをセットして、その準備として私のステータスをスクショして蓮くんの方に送っておく。比較しないといけないからね。あ、ついでにX‘sにも「今からやります」って書いておこう。


「蓮くんは思うがままにツッコミとか質問してくれればいいから。実際冒険者やってる蓮くんでもわからないことは、大体の視聴者さんがわからないことだよ」

「た、確かに」


 アプリを立ち上げてライブモードにして、と。開始!


「こんばんワンコ~! ゆ~かのステータス講座、はっじまっるよー!」


『今からやりますって告知やめい。来れたけど!』

『せめて1時間前に告知してー』

『芋ジャージ来たーーー!』

『SE-RENちゃんねるから来ました!』

『連続蓮くんありがとうー』


 むうう、これだよ、上の3つは間違いなく私のチャンネル登録してる人だわ。

 コメントの優しさでどこ住みなのかわかるって怖いね。


「今日はステータスについて説明します。なんか冒険者やってる蓮くんですらわかってないってことをさっき思い出したので!

 これが現在の私たちのステータスです。はい、ドーン」


安永蓮 LV8 

HP 30/30

MP 25/25

STR 6

VIT 7

MAG 15

RST 17

DEX 13

AGI 10

スキル 【初級ヒール】

装備 【――】


ゆ~か LV6

HP 55/55

MP 6/6

STR 14

VIT 20

MAG 4

RST 5

DEX 17

AGI 21

ジョブ 【テイマー】

装備 【初心者の服】

従魔 【ヤマト】


『ゆ~かちゃんの方がLV低いのにステータス高い』

『アイドル、ステータスダメじゃね?』


「はい、その通り! 私の方がLV低いのにステータスは高いです。

 これはLV9までは『やったことの反映』でステータスが上がるからなの。私はLV上げないように鍛えてたから高いんです。

 LV10になったらその時点でのステータスから伸び率が決まるから、そこから先は努力しても伸び率変わりません。

 つまり、私と蓮くんは今が努力する時なのです。私が配信で2層ばっかり回ってたのはそのせいね」


『なるほどー』

『なるほどー』

『なるほどー』

『なるほどー』

『蓮くん、危ないんじゃ』

『蓮くん猶予ないよ!?』


 あ、ヤマトのお耳がほかほかしてる。配信の時に暴れ回らないようにって夕方たんまり運動させてご飯も済ませたんだけど、これはおねむか。


「ちょっと待って、ヤマトがおねむらしいのでソファに……」

「俺に! 俺に渡してくれ!」


 食い気味に犬好きが手を伸ばしてきたよ……。仕方ないなあ。

 渋々ヤマトを蓮くんに渡すと、蓮くんはヤマトを寝やすいように抱っこしてぐんにゃりした笑顔になった。


『蓮くんのレア笑顔!』

『見たことない顔してる!!』

『安永蓮は犬好きか』

『いやー、仔柴抱っこしたら誰でもああなるだろー』

『これだけでもこっち見に来た甲斐があったよー』


「……はい、と言うわけで、シーサーペント倒した時に経験値が思ったより入っちゃったので、私も蓮くんも今あまりLVは上げたくありません。

 それは置いといてー、ステータスの解説をしたいと思います」


 さっきの蓮くんのステータスを映して、それを元に解説する。「見せんなよ」とか言ってる人が隣にいますけど、おねむのふにゃふにゃ柴犬を抱っこしてるのだから文句を言う権利はないのだ。


「はい、まずはLVレベル、これについては言うことなし! 次、HPヒツトポイントは生命値。0になると死にます。次、MPマジツクパワー、魔法を使うと減ります。0になるとたまーに気絶する人がいるそうです。次……」


『思ったより雑だー!』

『待って待って』

『早い』


 えー、雑って言われましても……。冒険者ではない人にどのくらい細かく言う必要があるのか、微妙なんだよね。


「もっと細かくやる? まずレベル、これはみんなお馴染みでLVエルブイって書いてあっても普通にレベルって読むよね。

 モンスターを倒すと得られる経験値が一定量溜まるとアップして、その時にステータスが上がります。一般的に強さの指標として見られるもの。……こんな感じ?」


『グッド!』

『やればできるじゃん』

『がんばれ冒険者科!』

『ゆ~かちゃん解説ありがとう』


「ヒットポイント、略称HPエイチピー。さっきもいったけど生命力です。敵の攻撃を受けたとき、防具で防ぎきれなかった分はこれが減ります。前衛の必須ステータス。

 これは走り込みしたりすると後で説明するVITと共に上がりやすくなります。回復はお馴染みポーションね。あとは怪我が大きくなければ自然回復。


 マジックパワー、通称MPエムピー。魔法習得に関係して、魔法を使用すると減ります。魔法をガンガン使うと上がりやすくなります。

 回復は時間経過での自然回復と、手っ取り早く寝るのと、マジックポーション飲むこと。魔法使いの生命線ですね。これが低い魔法使いは使い勝手が悪いです。ちなみに蓮くんは高い方です」


『蓮くん魔法の素質あるんだー』

『ゆ~かちゃんの6ってのは……』

『こういう解説が聞きたかったんだよ』

『ぶっちゃけ、ゆ~かちゃんのステータスだと習得出来る魔法はないね。6だとファイアーボール1発撃って終わり。あれの消費は6だから』


 視聴者の中に冒険者いるじゃん! まあ当たり前か。でも特にSE-REN側の方の人は詳しくないんだよね。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?