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第14話 同レベルの応酬

「あ、LV上がってる。6になってる」

「俺は8になった」


 私の場合はヤマトが倒したから経験値が入ったんだけど、イケメンヒーラーは最初から戦ってたから入ったんだろう。

 経験値横取りしてなくて良かったー。


 なんとなく流れでお互いのステータスを見せ合い、私たちは揃って目を剥いた。


ゆ~か LV6

HP 55/55

MP 6/6

STR 14

VIT 20

MAG 4

RST 5

DEX 17

AGI 21

ジョブ 【テイマー】

装備 【初心者の服】【初心者の盾】

従魔 【ヤマト】


 うっ、MPとMAGとRSTがまた上がってない! これはちょっと弱い敵の魔法攻撃とか食らっておかないとダメな奴かな?


 それに対してイケメンヒーラーのステータスは私と真逆だった。


安永蓮 LV8 

HP 18/30

MP 3/25

STR 6

VIT 7

MAG 15

RST 17

DEX 13

AGI 10

スキル 【初級ヒール】

装備 【ブルーローブ】【集中の杖】


 スキルっていうのはジョブとは違う。ジョブは職業でスキルはスキル……あれっ? つまりスキルはできることってことかな。


 ジョブがクラフトマンでスキルがクラフトっていう感じ。クラフトマンはいろんな物をダンジョン素材から作れるジョブで、武器や防具などそれぞれ専門分野に分かれている。


 初級ヒールはMAGとMPが一定値あればダンジョンアプリで取れるスキルだ。

 さっきイケメンヒーラーが使ってたHPを僅かに回復する【ライトヒール】と30%の確率で様々な状態異常を回復をする【ライトキュア】の魔法が使えるようになる。


 ちなみに私は条件を満たして無くて取得出来ませんでした!!


「なんで俺よりLVが低いのに、おまえの方がステータス高いんだよ」


 納得いかないというようにイケメンヒーラーが口を尖らせる。


「大体理由は知ってるけど、腹立ったから言わない!」

「ガキか、おまえ!」

「命の恩人に対する態度がそれ?」

「れ、蓮……やめなよ……」


 やいやいと言い合う私たちに、怪我を負っている聖弥さんが震える腕を上げて止めに入ってくる。


『ゆ~かちゃん、ドロップ確認してないよ』

『ボスを倒してドロップ確認しない冒険者初めて見た』

「あっ、そうだった!」


 視聴者からのコメントで気がつく。さっきヤマトが魔石の前に何か拾ってきてたっけ。

 砂浜に遠き島より椰子の実ひとつ……ではなく、放置された黒い短剣が1本。

 ダンジョンアプリのカメラ機能で撮影して鑑定すると、【カーボンナイフ】と表示された。


 合羽橋で売ってそうな……。ボスのドロップとしてはしょっぱくない? それとも私がボスドロに夢を見すぎてるのかな。


「カーボンナイフだって。魔石はヤマトが絶賛かじってるから、これはそっちの取り分ね」


 海水で濡れているカーボンナイフをイケメンヒーラーにさしだす。彼は聖弥さんと顔を見合わせて、首を横に振った。


「俺たちが倒したんじゃないし、おまえが受け取ってくれ」

「ええ……カーボンナイフより高価と思われる魔石をうちのヤマトがかじっちゃってるから、これはそっちで受け取っていいよ。そもそも、最初に戦ってたのはふたりなんだし、使わなければ換金すればいいし……って、ヤマトォ!? どこに行ったの!?」


 気づいたらさっきまで波打ち際で魔石をかじってたヤマトがいない!

 最下層はボス以外のモンスターが出ないからって、あまりに油断してた!


 私は慌てて周囲を見回した。砂浜、偽物の海、そしてさっき下ってきた階段――ぐるっと見て、遠くにあるダンジョンの壁に向かって走っているヤマトを見つける。


「いた! 良かった!」


 砂に足を取られつつまた走る。

 私がヤマトに追いつく前にヤマトはダンジョンの端である壁に辿り着き、ふんふんと周囲を嗅ぎ回っていた。


 やがて、匂いの発生源がわかったらしく、壁をガリガリと前足でひっかき始める。この壁の奥に、何かある?

 サザンビーチダンジョンに隠し部屋があるなんて聞いたことないけど。


 私も初心者の盾を壁に向けて、思いっきり体当たりした。

 ヤマトのパンチと私の体当たりが効いたのか、壁がガラガラと崩れていく。


「か、隠し部屋だ……ヤマト、凄いよっ!」

「ヒャン!」


 濡れてるのを気にしないでヤマトを抱きしめてなでなでする。ああ、本当にうちのヤマトは強くてお利口で可愛くて、地上最強過ぎるでしょ!!

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