目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
報告を聞こう

 読者様へ。


 いつも「邪神転生ももこちゃん」をお読み頂き誠にありがとうございます。

 ここで作者からのお知らせを挟ませていただきます。


 前回のお話「心と体を鍛えよう」ですが「幕間」ということにさせてください。


 実はここのところ、シリアス展開が続いていたので「読者様もしんどいかな? ううん、しんどいのは書いてる自分だわ」ということを考えてしまい、シリアス展開をぶったぎってコメディー要素しかないお話を投稿いたしました。

 確かに書けたのは書けたのだけど、なんとなーく違和感が残ってしまいました……(そもそも話が全然進んでなかったし)

 しかし今更消すわけにもいかない。

 というわけで幕間にさせていただきました。

 正直、調子に乗りすぎました。すんません。

 誰が背中を板で殴られて喜ぶんだっつーの。いい加減にしろ。まじで。


 今回のお話ですが、前回のお話がなくても読めるようにしておきます。

 背中痛いんじゃねーのかよっていうツッコミもあろうかと思いますが、なるべく違和感ないようにしておきます。

 説明が重複する部分もあるでしょうが、許してつかーさい。

 よろしくお願いいたします。


 それでは本編はじめます。

 今回話の内容的に仕方がなかったのですが、ちょっと短めです。


                                     ちぇり



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 ももこが天子と共に攫われてしまう前日の夕方のことである。

 大僧正をはじめとする邪神教徒達で結成された「ももこ様お助け隊」は、森を出てミャーミャの街が見える丘へと辿り着いていた。

 お助け隊は一刻も早く天子のいるポポニャン神聖国の首都へ向かわなければならないのだが、大僧正はミャーミャへと情報収集部隊を派遣し部隊の帰還を待っていた。

 急がば回れである。

 そして大僧正のその行動は正解であった。


 丘に設置した仮設テントの中で、大僧正はミャーミャの町から帰ってきた情報収集部隊の報告を受けていた。

 その報告内容は、ももこの足跡を詳しく知りたいという狙いを超える内容であった。



「な、なんだと……ではももこ様はミャーミャにおられる可能性が高いということか……?」


「左様でございます」



 邪神教はミャーミャの北に位置する森の一番奥にその本拠地を構えている。

 そのような人里離れた場所であっても、彼らは邪神教を組織として成り立たせている。

 それはつまり、財源が確保できているということである。


 邪神教の収入源は、信者達からのお布施ではない。

 むしろ信者達には職責に応じた給料を支払っている。


 以前の大僧正の言葉にもあったように、邪神教は本部以外にも商業部門、農業部門と呼ばれる部門が存在している。

 それらの構成信者達は様々な街や農村に散らばり、法人として売上を上げつつも情報収集を行っているのである。

 もちろん本体が邪神教であることは公表していない。

 それどころか、雇用しているほとんどの社員は知らないのである。

 商業部門や農業部門での売上が母体である邪神教を支えているのだ。


 今回大僧正がミャーミャの街へ送った情報収集部隊は、闇雲に聞き込みを行ったわけではなく、ミャーミャを拠点にする商業部門が興した会社「株式会社ももチュッチュ」(最近社名を変更した)へ情報を仕入れに行っていたのだった。

 ちなみに株式会社ももチュッチュは食品会社で、直近の新商品は「ももこにゅーにふわわ」(日本語に訳すと「ももこ様のほっぺ」)である。薄桃色の餅のような菓子で、ももこの頬のように柔らかそうだということからこの名前に決定した。



「ももチュッチュも、ももこ様に関係あるのではないかと独自に調査を進めていたところだったようで、即座に情報が得られました」


「どういうことだ? 詳しく教えなさい」


「ももこ様が行方不明になられた直後に、捜索のため早馬で邪神教の全部門に通達はしておりました。ですので天子に攫われたことは周知のことです。そしてももチュッチュは、天子がミャーミャに来ているという情報を既に掴んでいたそうです。これはもしや、ももこ様もご一緒なのではと調査を急いだとのことです」


「なるほどな。それは重畳だ。それで天子の居場所は掴んでいるのか?」


「はい。街の中心に程近い場所にあるパン屋にいるそうです」



 邪神教の資金源でもある関係施設は巨大で、そして根深い。

 それは邪神教を存続させるためであり、そしていつか来るこの国との決戦を見越してのことである。

 ももこの性格を鑑みて、大僧正にはもはやその気持ちは薄れつつあったものの、ネットワークは依然として機能している。

 そして邪神教の情報ネットワークは庶民の噂程度の話から、国の重要人物の居場所まで掴んでいた。

 特にミャーミャの街は邪神教本部のお膝元一番近い街であるから、その力も強大なものであった。



「それではただちにそのパン屋へ行こう……いや、夜まで待ったほうがいいか?」


「それが……現在数名を街の酒場で待機させてあるのですが、迂闊にパン屋に近付けないのです。ここはももこ様が確実にパン屋にいると分かってから動いた方が得策かと」



 その言葉を受けて大僧正は少し思案に耽った。

 国の最高権力者がお忍びで来ているのだ。当然パン屋の周りは一般人に紛れた護衛が大量に配置されているのだろう。

 迂闊にパン屋に近付けないとはそういう意味があった。

 つまり、天子が街のパン屋へ来ていることは、護衛がいることからも確実であるが、ももこがいる保証がない。

 下手に侵入して敵に気付かれた場合、最悪戦闘となり「ももこ様お助け隊」は全滅してしまう可能性もある。

 それでも、ももこがいればまだ救いがあるが、いないのであれば話にならない。

 ここはどうしても慎重になる必要があった。



「……分かった。そういうことならしばらく待機せねばならないな……お前達は引き続き様子を見てくれ。ももこ様がいらっしゃらないことが確認できたら先の街へ進むとしよう」


「心得ております、大僧正。それともう一つご報告がございます」


「聞こう。小さなことでも何でも報告してくれ」


「ありがとうございます。実は待機場所の酒場なのですが、協力者を見つけて潜伏することに成功しております」


「ほう、協力者か……我々邪神教にか?」



 報告している信者は大僧正の言葉にゆっくりと頷いた。



「大僧正、協力者は信頼してもいい人間だと判断します。実はご報告後に、大僧正を含め数名を酒場へご案内しようと思っていたのです」


「邪神教を知っていて、なおかつ邪神教と聞いて協力してくれる人間がいるとはな……」


「大僧正もご存知の人間です。それにこの丘で待機されるよりも、少しでもパン屋に近い場所で待機されたほうがよろしいかと」


「それはそうだな。それで、一体協力者は誰なのだ?」


「はい、それは──」



 こうして大僧正を含めた数名が街へ潜入することとなった。

 そして酒場へ赴き、大僧正も見知った人間と再会することとなる。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?